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「有料ライブ配信」の録画販売がネットで横行…法的リスクは大、刑事罰も

2021年01月17日 10:01  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスの感染拡大により、大規模なイベントが制限を受ける中、アーティストの有料ライブ配信は身近なものとなりました。


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ファンはスマホやPCで視聴できるため、自宅で「推し」に会えると好評ですが、ネットではこの有料ライブ配信を録画し、販売している人が散見されます。



●「画面録画お譲りできます」

ツイッターでは「画面録画お譲りできます。お求めの方はdmお願い致します」、「買取も可能です!(1つ500円から)」など有料ライブ配信の録画を売買するツイートが複数ありました。



「EXILE」などが所属するLDH JAPANも2020年10月6日、公式HPで「オンラインにて配信している『LIVE×ONLINE』に関して、SNS上にて映像や音源の交換や売買が行われているため、やむを得ず警告等の対応を行っております」と注意喚起をおこなっている。(https://www.ldh.co.jp/news/detail.php?lang=jpn&site=LDH&newsid=0000030778)



果たして有料ライブ配信の販売行為、一体どんな法的問題があるのだろうか。佐藤孝丞弁護士に聞いた。



●有料ライブ配信映像の販売・交換は原則として違法

——Twitterでは有料ライブ配信の売買が相次いでいます。どのような法的問題がありますか



一般に、上記のようなライブ配信の映像は、配信と同時に録画されているような場合、著作権法上保護される「映画の著作物」に該当します(著作権法2条3項、10条1項7号)。



したがって、ライブ配信映像を著作権者に無断で録音・録画した上で、公衆に売ったり、交換したりする行為は、複製権・頒布権等の著作権侵害となり、違法です。



歌唱、演奏のもとになっている作詞・作曲についても、「音楽の著作物」に該当します(著作権法10条1項2号)。作詞・作曲された楽曲については、作者(又は著作権の譲渡を受けた、いわゆる音楽出版社)が著作権者です。



そして、無断でライブ配信映像において流れている音楽を録音する行為は、複製権の侵害となりますので、違法です。



また、歌手、奏者の歌唱、演奏も、著作権上保護されます。具体的には、「実演」(著作権法2条1項3号)に該当します。したがって、無断でライブ配信映像を撮影等する行為は、実演家の録音・録画権(著作権法91条1項)の侵害となりますので、違法です。



●契約上も違法

——多くのライブ配信サイトでは、録画や録音を控えるよう呼びかけされています



『LIVE×ONLINE』のケースでも見られるとおり、多くの場合、ライブ配信映像の音声、映像を録画・撮影・録音する等の行為、インターネット等で投稿・配信する行為や交換・売買する行為が各ライブ配信映像サービスの利用規約などにより禁止されています。



したがって、これらの禁止行為をすることは、契約上の義務の観点からも、債務不履行であり、違法です。



●自分のための画面録画も違法となる可能性が高い

——自分で画面録画する行為もダメですか?



「私的使用のための複製」(著作権法30条、102条1項)に該当すれば、複製権や実演家の録音・録画権侵害にはなりません。例えば、家庭内で仕事以外の目的のために使用するために、著作物を複製することができます。



しかし、多くの場合は、複製自体が私的使用のためであるか否かを問わず各ライブ配信映像サービスの利用規約等により禁止されています。



したがって、複製権侵害でなくても、契約違反(債務不履行)を免れることはできないので、あらかじめ許諾されているという事情がない限りは、違法となる可能性が高いでしょう。



——販売や交換はもちろん、自分で画面録画する行為もダメだということですね



権利者に無断で他人に有料ライブ配信映像を売る・交換する等の行為はもちろんのこと、私的使用目的の録音録画自体も違法になる可能性が高いといえます。



すなわち、差し止め・損害賠償請求のリスクを負います。私的使用目的以外の著作権侵害行為については、刑事罰もあり得ます。言うまでもないのですが、こうした行為は、厳に慎まなければなりません。



(佐藤弁護士の見解は、所属する組織の見解を示すものではありません)




【取材協力弁護士】
佐藤 孝丞(さとう・こうすけ)弁護士
都内を中心に、企業法務一般、特に著作権・商標権・模倣品対応等の知的財産案件に注力。弁理士としても活動中。一方で、相続等の様々な案件を取り扱う。弁護士知財ネット会員。
事務所名:佐野総合法律事務所
事務所URL:https://sklaw.jp/