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気づいたら「元夫」になっていた!勝手に離婚届を出し、消えた妻…どうすれば?

2021年01月16日 10:02  弁護士ドットコム

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「妻に勝手に離婚届を出され、受理されてしまいました」。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。


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相談者によると、夫婦喧嘩の翌日、家を出て行ったそうです。するとその数日後、男性のもとに「離婚届を出したから」とメールが届きました。ただの喧嘩と思っていた男性にとっては、青天のへきれきでした。



相談者は離婚届には「判も押していないし、用紙すら見たことがない」といい、妻と離婚したいとも考えていません。



離婚届を一方的に出されてしまった場合、撤回するにはどうすればいいのでしょうか。中西祐一弁護士の解説をお届けします。



●裁判所に「調停」か「訴訟」を申し立てれば無効にできる

ーー離婚届を提出し、受理された場合は「離婚」が成立したことになるのでしょうか。



離婚届を提出することによっておこなう離婚を、「協議離婚」といいます。



「協議離婚」が有効に成立するためには、(1)夫婦双方に離婚の意思があること、(2)離婚届が提出されること、という2つの要件が必要です。夫婦の一方が、勝手に離婚届を作成して提出した場合は、離婚は無効となります。



ただし、市役所等の戸籍係には、夫婦に本当に離婚する意思があるかどうかを確かめる権限はありません。そのため、妻が勝手に作成した離婚届であっても、戸籍係に受理されてしまう可能性があり、そうなれば、戸籍上は離婚したことになってしまいます。



ーー撤回するには、どうすればいいのでしょうか。



まずは家庭裁判所に「協議離婚無効確認」を求める調停を申し立てる必要があります。調停での話し合いの結果、離婚が無効であると夫婦双方が合意し、裁判所がその合意を正当と認めれば、戸籍の記載を訂正することができます。



合意が成立しない場合は「協議離婚無効確認」の訴えを提起し、勝訴すれば戸籍の記載を訂正できます。ただ、調停や訴訟を申し立てるには手間もお金もかかります。



相手が勝手に離婚届を提出することを予防できるなら、これに越したことはないでしょう。夫婦仲があまり良くないなどで、相手が勝手に離婚届を提出しそうな場合には、前もって「離婚届の不受理申出制度」を利用することをお勧めします。この制度を利用すると、申出をした本人が戸籍係の窓口で本人確認手続を行わない限り、離婚届は受理されません。



●妻の行為は「犯罪」にあたる

ーー相談者は離婚届に判も押していない上、用紙さえ見ていないそうです。妻は夫である相談者の同意なしに離婚届に夫の名前を書き、捺印して提出したのだと思われます。このような妻の行為は法的に問題ないのでしょうか。



実は、このような妻の行為は、有印私文書偽造罪という犯罪にあたります。また、離婚届を戸籍係に提出する行為は偽造有印私文書行使罪に、さらにその結果、戸籍に実態とは異なる記載をさせることとなれば公正証書原本等不実記載罪にあたります。



このように、勝手に離婚届を作成して提出する行為は、重大な犯罪行為なのです。



(弁護士ドットコムライフ)




【取材協力弁護士】
中西 祐一(なかにし・ゆういち)弁護士
金沢弁護士会所属。地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。
事務所名:中西祐一法律事務所
事務所URL:http://www.nakanishi-law.net