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広瀬アリス「“どれだけ聞き合えるか”が大事」 『知ってるワイフ』で変化した結婚観を語る

2021年01月14日 09:41  リアルサウンド

リアルサウンド

広瀬アリス(撮影:鷲尾太郎)

 関ジャニ∞の大倉忠義主演のドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)の放送がスタートし、怒涛の夫婦生活の描写には「リアルだった」「過去の自分を見ているよう」と共感の声が溢れている。


【写真】第1話で家事追われていた広瀬アリス


 韓国の同名ドラマを原作とした本作は、結婚生活の不満と後悔を描きながら、「あの日、あの時に戻りたい」という悲痛な願いがかなってしまい、奇跡の人生を手に入れた主人公を通して、夫婦の普遍的ともいえるテーマを描くファンタジーラブストーリー。


 今回、元春の妻・澪役を演じる広瀬アリスにインタビュー。恐妻役を「気持ち的には楽です(笑)」と怒るシーンなども楽しんで演じたという広瀬に、澪を演じたことで変化した結婚観などを語ってもらった。


■怒るシーンは、ストレス発散に


――第1話を観て、「この旦那さんは無理だなぁ」と思いました(笑)。


広瀬アリス(以下、広瀬):そうなりますよね(笑)。全国の主婦のみなさんにも、共感いただけるのではと思っています。


――子供を持つ主婦役は初。それでいて、恐妻役なんですよね。


広瀬:でも、恐妻は気持ち的には楽です(笑)。正統派ラブストーリーは、私はちょっと恥ずかしいです。怒るシーンは、ストレス発散にもなりました(笑)。


――恐妻を演じる上で意識したことは?


広瀬:台本を読んで、(澪が元春に対して)“ふつうに怒る感じじゃないな”とわかったんです。韓国版を観ても奇声に近い印象があったので、そこに近づけたいな、とは思っていました。喋るペースやトーンはテストから本番で合わせていったんですけど、かなりのインパクトを残したかったので、思いっきり怒鳴らせていただきました(笑)。物を投げる時にも、どちらかというと大倉さんをめがけて投げていました(笑)。


――大倉さんはどんな反応を?


広瀬:「あ、当てる!?」って言われました(笑)。


――たしかに、カニを投げるシーンは印象的ですよね。


広瀬:あれは韓国版にもあるシーンで、「そこだけは絶対!」と監督がおっしゃっていました。最初から「ケガをさせたらどうしよう」とはあまり考えずに、ちゃんと大倉さんをめがけて投げました(笑)。


――ちゃんと(笑)。撮影で大変だったことは?


広瀬:初日から大変でした。自粛が明けてすぐだったので、勘が戻らなくて。ここ数年、いろんな作品を立て続けにやらせていただいていて、(セリフが)すんなり入ってくることが多かったんです。でも、2カ月も台本をあまり読まない期間があると、ふだんの会話すら全然入ってこなくて。まずいと思って、めちゃめちゃ焦りました(笑)。


――クランクイン前の心境は?


広瀬:すごく緊張しました。毎回、クランクイン前日は寝れないんですけど、その中でも上位に入るくらい緊張しましたね。不安が大きかったです。


――どのタイミングで勘が戻ったんですか?


広瀬:本当にスケジュールがタイトだったので、そのタイミングもわからないまま……。でも、最初の1週間くらいは本当に大変でした。役に入るのは“感覚”でしかないので、「あぁ、こんな感じだったなぁ」と思い出しながら。


――澪は、時代によってキャラクターが変わりますよね。


広瀬:学生、お母さん、銀行員と、いろんな役をやっていたので、別人を演じるくらいの感覚でした。見た目もぜんぶ違いますし、衣装とかメイクが変われば気分も変わるので、そこで切り替えていました。


――澪を演じる上で大切にしたことは?


広瀬:彼女のまっすぐな部分は、全面に出したかったんです。「どんだけだよ!」とツッこまれるほどまっすぐなところが、澪の魅力でもあるので。そこは、お芝居でもしっかり見せていきたいなと思いました。


――どの時代の澪も?


広瀬:そうですね。キャラクターは変わっても、その根っこの部分だけは変わらないと思っていました。


■元春は視野が狭い!


――広瀬さんは、夫としての元春さんについてどう思いますか?


広瀬:(食い気味に)ダメだと思います(笑)。元春さんは、女性から見ると少し子どもっぽいというか、視野が狭いなと思います。


――結婚前の元春さんはどうですか?


広瀬:元春さんは、いつの時代もずーっと同じキャラクターなんです。なんか憎めなくて、どこか放っておけない存在。母性本能をくすぐられる方です。


――大倉さんが演じているから特に?


広瀬:それは、すごくあると思います。(元春は)大倉さんの雰囲気そのままではないんですけど、なんか放っておけない感じで。「なんだこの人は」と思うんですけど、どこか可愛らしいんですよね。


――大倉さんご本人の印象はいかがでしたか?


広瀬:フワフワした方だなって(笑)。スケジュールがハードだったので、「一緒に頑張ろう」という感じで毎日撮影していました。仲良くなるような役ではないかなと思っていたので、実はたくさん喋ったわけではないんです。ほどよい距離感でお芝居したんですけど、とてもやりやすかったです。


――大倉さんの役者としての魅力は?


広瀬:お芝居で良い意味で脱力できる方は、すごいなと思います。やっぱり「本番!」となると、自分の中で何かがグッと上がるんですよね。大倉さんは、そこを抜ける方。どうしても変な力が入ってしまうものなので、脱力するのはなかなか難しい。それができる方にはあまりお会いしたことがなかったので、羨ましいなと思いました。


■“どれだけ聞き合えるか”が大事


――作品を通じて、ご自身の結婚観は変わりましたか?


広瀬:まだ一人でいいかな、と思いました(笑)。演じてみて、やっぱり大変だな~って。子どもがいて、ワチャワチャするのも楽しいんだろうなと思いましたし、キッチンに小っちゃいコップやお皿が置いてあるのも可愛いなと思ったんですけど……今ではないかなと(笑)。


――結婚は、恋愛の延長にあると思いますか?


広瀬:いや、絶対違いますよ! 「恋愛の好きだけじゃ、やっていけないでしょ」というのが私の結論です(笑)。だから、“どれだけ許せて、どれだけ言い合えるか”ではなくて、“どれだけ聞き合えるか”が大事だと思います。


――聞くって大事ですよね。


広瀬:大事ですよー。人が話している時に、それをぶった切ったりしてくると、友達でもめちゃくちゃ腹が立ちます。「いいから、最後まで聞きなさい」って(笑)。


――(笑)。ちなみに、結婚相手に求めるものは?


広瀬:誠実と自立。この2つです。やっぱり誠実な人って良くないですか?(笑) ちゃんと言葉にしてくれるって、すごく大事だなと思います。あとは、全部を頼り切らない。お金うんぬんではなくて、きちんと心が自立している人がいいですね。


■人に影響されて人生を送ってきた


――ドラマでは「妻を替えて、人生を変えたい」と過去にタイムスリップする主人公が描かれます。広瀬さんご自身は、周囲の環境によって人は変わっていくものだと思いますか?


広瀬:私は、本当に人に影響されて人生を送ってきたと思います。良くも悪くも、全部(笑)。やっと今、自分を確立してきましたけど、そこに辿り着くまでには本当にいろんな考え方をしてきました。でも、その経験があったからこそ今があると思っているので、結果的には良かったんですけどね。


――今のほうが楽に生きられている感じ?


広瀬:そうですね。数年前に、仕事で自分のことを精神的にも身体的にも追い込んだ時期があって。その作品が終わった時に、「これからは自分のペースでいこう」と思えたんです。いいマインドになっているから、「あぁ、このまま続けられるな~」と。それまで下ばかり向いていたのが、やっと前を向けるようになった。それがずっと続いている感じですかね。


――ちなみに「もしも」ではなく「本当に」タイムスリップで過去に戻れるとしたら、どうしますか?


広瀬:そしたら、小学生に戻って一からやり直します(笑)。


――「戻らない」とお答えになるかなと思っていたので、意外でした(笑)。とはいえ、最終的には女優の道を選んでしまうのでは?


広瀬:いや、別の道を歩めるとしたら選ばないんじゃないかな(笑)。福祉関係にはずっと興味があります。私、楽しいことをずっと続けていきたい人なんです。だから、今はこのお仕事がすごく楽しいので、続けていけているんだと思います。そう思えるようになるまでには、すごく時間がかかりましたし、ドラマの撮影に入ったら、休めなかったり、大変なこともあったりするんですけど、そういうのもひっくるめて今は楽しいですね。ガムシャラにやるのが自分には合っているので、綺麗な花形の感じではないですけど(笑)。いろんな経験をさせてもらいながら、楽しくやらせていただいています。


(取材・文=nakamura omame)