1月11日、ダカールラリーは競技9日目の“ステージ9”が行われ、総合首位に立っているXレイド・ミニ・JCWチームのステファン・ペテランセル(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)が今大会初となるステージ優勝を飾った。
ネオムをスタート/フィニッシュ地とするステージ9は総走行距離571kmのループステージ。全長465kmのSS(競技区間)は紅海の海岸をスタートし、標高1200メートルを超える高地へと至るコースで、今大会もっとも多様性に富んだステージのひとつとなっている。
そのループステージでベストタイムをマークしたペテランセルは、序盤こそ“砂漠の王”ことナッサー・アル-アティヤ(トヨタ・ハイラックス)にリードを許したものの、すぐさまこれを逆転。
以降、SRTレーシングのマシュー・セラドリ(センチュリーCR6)と接戦を繰り広げながら難関ステージを駆け抜け、ライバルの離脱後は余裕を持ってフィニッシュを迎え、今大会初となるステージ優勝を飾った。
TOYOTA GAZOO Racingのアル-アティヤは2度のパンクに見舞われながらもSS2番手でフィニッシュ。しかしペテランセルからは12分遅れでのゴールとなり、総合2番手は変わらぬものの、その差は17分50秒に拡大している。
ステージ3番手はTOYOTA GAZOO Racingのジニール・ドゥビリエ、4番手にはオーバードライブ・トヨタのヤジード・アル-ラジがつけ、トヨタ・ハイラックス勢が2~4番手を占めた。一時はペテランセルからリードを奪ったセラドリは385km地点を過ぎたところでマシントラブルに見舞われ、ステージ26番手に沈んでいる。
「このステージは本当に複雑なものだった。始まる前から1日が長くなることがわかったていたので、フルアタックではなくタイヤのマネジメントとナビゲーションのクリーンさを重視することにしたんだ」と自分たちの戦いをふり返ったペテランセル。
「終盤、僕たちはカルロス(・サインツ)とナッサー(・アル-アティヤ)を追い抜いた。彼はパンクしていたので、僕たちは彼を2回オーバーテイクしたことになる」
「純粋なスピードだけでなくトラックのコンディションに合わせてスピードを調整する戦略が問われる、アフリカでの本当のダカールのようなステージだったよ」
総合3番手につけているサインツ(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)はアル-アティヤと同様に、タイヤのパンクによってタイムを失い11番手でフィニッシュ。ポジションはキープするも、首位につける僚友とのギャップはさらに広がり1時間02分25秒遅れとなっている。
■二輪総合2番手につけていたトビー・プライスがリタイア
四輪市販車クラスでワン・ツーを維持しているチームランドクルーザー・トヨタオートボデー勢は、三浦昂(TLC VDJ200)がステージ42番手/総合41番手、チームメイトのロナルド・バソ(TLC VDJ200)もSS45番手/総合42番手で難関ステージをクリア。
トラック部門を戦う日野チームスガワラの菅原照仁(日野レンジャー)はステージトップ10フィニッシュを飾った。総合順位は部門13番手、排気量10L未満クラスでは首位を守っている。
二輪部門では今大会2度目のステージウインを達成したケビン・ベナバイズ(ホンダCRF450ラリー)を筆頭に、モンスターエナジー・ホンダチーム勢が躍進。チームメイトのリッキー・ブラベック(ホンダCRF450ラリー)、ホセ・イグナシオ・コルネホ(ホンダCRF450ラリー)が続き、ホンダが同ステージでワン・ツー・スリー・フィニッシュを飾った。
総合でもコルネホが首位を守り、総合2番手につけていたレッドブル・KTM・ファクトリーチームのトビー・プライス(KTM 450ファクトリー)が転倒によるリタイアを喫したことで、ベナバイズがチームメイトと11分24秒差の2番手に浮上した。トップと14分34秒差の総合3番手にはレッドブル・KTM・ファクトリーチームのサム・サンダーランド(KTM 450ファクトリー)がつけている。
競技10日目、1月12日に行われる“ステージ10”は西部のネオムからやや内陸に入ったアル・ウラーへと続く全長583kmのステージだ。内342kmのSSは標高1000mを超える高地からの山下りとなるが、その間にも複数の山が控えアップダウンに富むステージとなっている。