isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2020年下半期の運勢も配信しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね♡
2020年下半期の運勢 今週のおひつじ座の運勢illustration by ニシイズミユカ
波紋を広げる
今週のおひつじ座は、ますます迎合せず、遠慮せず、勇み足を厭わなくなっていくような星回り。
「火星なほ燃えて春天明けゐたり」(山口誓子)という句は、昭和21年1月15日に詠まれたもの。冬の寒空にはシリウスのような青い星もよく映えますが、2021年1月は宵の南の空で荒壁にちろめく火明かりのごとき火星もまた見頃が続いています。
おひつじ座の守護星でもある火星は、先週6日におうし座入りした後、完全に重なる20日まで「自由と独立」の天王星へとぐんぐん接近していきます。これまでどうしても葛藤があって越えようにも越えられなかった一線を越えていくだけの、怒りや苛立ちといった燃料が投下されていくのです。
しかしそうして燃える火星はネガティブなものではなく、あなたが感じている根源的な不安や恐れを緩和し、特定の他者や状況からの影響から自身を解放させていくためには必要不可欠な推進期間。今週は、そうして火星を燃やしている間にいつの間にか「明けゐたり」という状況になっていくかもしれません。できるだけ、それによって自分が社会に対してどんな役割を果たしていけるのかという広い視野を見失わないようにしたいところです。
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脱人間
今週のおうし座は、抑止解除するものに心奪われていくような星回り。
ハイデガーは1929~1930年の講義の中で、動物の本質としての「放心」を示す鮮烈な例として、実験室で蜂蜜をいっぱいに充たしたグラスの前に一匹のミツバチを置いてみるという実験に言及しています。蜜を吸い始めた後でミツバチの腹部を切断すると、口が開いた自分の腹部から密が漏れるのを目にしてもなお、ミツバチはそのまま蜜を吸い続けるのです。
「ミツバチは夢にも気づくそぶりはなく、いやそれどころか、まだ密があることに気づいていないからこそ、本能的な衝動をつづけるのだ。むしろ、単純にミツバチは餌にすっかり気をとられている。この気をとられているということが可能なのは、ひとえに、本能的な「外-向」が現前していることである。」(『形而上学の根本諸概念―世界‐有限性‐孤独』)
つまり「何かを何かとして知覚する可能性そのもの」がミツバチからは剥奪されているがゆえに、「そして、いまここでだけ、ということではなく、まったく与えられていないという意味で剥奪されている」。ここで生じているのは知覚することではなく、本能的な振舞い(夢中になっている)だけなのである、と。あなたもそうした「放心」へと自身が開かれていくのを実感していくことでしょう。
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戦慄と僥倖
今週のふたご座は、救いを求めていこうとするような星回り。
「暁紅(ぎょうこう)に露の藁(わら)屋根合掌す」(能村登四郎)は、1955年に作者がひとりダム建設のための水没の運命にあった飛騨白川村を旅したときに詠んだもの。ダム建設には猛烈な反対運動が展開されましたが、7年に及ぶ補償交渉の結果、1957年には工事が着手され1961年に竣工しています。
作者の目には、屋根の形そのものが、そこに長く住み暮らしてきた人たちの祈りの手となって見えたのでしょう。もうまもなく水没することが半ば決まっている家の、何かを静かに希求する姿に、「ほとんど戦慄に近い感動で立ち尽くした」とも書いています。
その跡地に建設された水力発電専門の御母衣(みぼろ)ダムは、その安定した電力供給によって日本経済の発展と治安維持の両面を支えてきましたが、その恩恵の陰には地元住民の大きな犠牲が付随してきたのです。あなたもまた、自分が失っていくであろうものと、それによって逆に得ていくだろうものとが交錯していくのを自然と感じていけるはず。
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なんだそれ?
今週のかに座は、これまで潜在的に抱いていた違和感を表出していくような星回り。
藤子・F・不二雄の「サンプルAとB」という短編作品では、ロミオとジュリエットの物語のような現実が展開される地球上の模様を、異星人が母星に調査報告したレポートのような文体で描いています。しかしその一方で「彼等の行動の意味は我われには理解しがたいものであった。上肢に持った金属片を相手の体の中に挿入するのが目的のようである」と、剣による決闘の場面について報告も。
こうした報告を読んでいると、なんだか笑ってしまうような、困惑するような、奇妙な気分になってくる人は少なくないのではないでしょうか。つまり、これは「異星人からの視点」の態で違和感が表出されている訳ですが、果たして、地球人同士でさえも、私たちはお互いの行為の意味について了解しあえているか。あるいは、言葉は通じていても話は通じていないという状況にごく日常的に接しているのではなかったか、と。
今週のあなたもまた、あえて異星人の視点を持ち込んで普段の日常や周囲で当たり前のように展開されている現実について、見つめ直してみるといいでしょう。
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兆しを招きいれる
今週のしし座は、自分が受け取ったり、逆に手を離れて流れていくものに敏感になっていくような星回り。
昔から縁起物として親しまれてきた宝船の絵は、正月明けに枕の下に入れて寝ると良い初夢を見ることができると言われていますが、「宝船ひらひらさせてみたりけり」(西村麒麟)という句では、それをただ「ひらひらさせて」みているだけ。
本来なら俳句にもならないような些細な動作ではありますが、汗がにじむまで握りしめるのでもなく、厳重に保管して確実にそのご利益にあずかろうとするのでもなく、ひらひらさせてみるというのは、それはそれで縁起物への正しい関わり方であるという気もするのです。
これまで富やお金というのは目に見える形で蓄積され、それゆえに隠され、守られるべきものでもありましたが(だからこそ分断の形も分かりやすかった)、ほんらい縁起物というのは、宝船と同じで、どこからか流れてきては、またどこかへと流れていく漂流物であり、その質は基本的にはふだん誰と関わり、どんな情報に触れているかでまったく変わってしまうはず。あなたもまた、自分の身体や仕事道具の風通しを調えていくといいでしょう。
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一点突破
今週のおとめ座は、自分の思ったことを自分がしたいようにやって何が悪いと、啖呵を切っていくような星回り。
中野重治の「歌」という詩では「おまえは歌うな」と繰り返され「すべての風情を擯斥(ひんせき)せよ」などと述べられていますが、最後には「もっぱら正直のところを 腹の足しになるところを 胸さきを突きあげてくるぎりぎりのところを歌え」と締めくくられています。
この特に最後に訴えかけるところのものは、身の内の熱を最大限に高めてぶつけようとするという意味でしし座的ではありますが、いまのおとめ座にとってはこれくらいでちょうどいいのではないでしょうか。
13日におとめ座から数えて「命懸け」を意味する5番目のやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、相手を抉るのでなければ、自分を食い破るのでなければ「歌う」などという表現行為は成立しないのだということを、改めて痛感していくことになるはずです。
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だんだん頭が消えていく
今週のてんびん座は、心の奥底に沈んだまま思いや衝動をすくい上げていこうとするような星回り。
「土器に星まつる火をともしけり」という句に詠まれている「星まつる」は“星の恋を祭る”ということで、牽牛と織姫の七夕伝説に由来するもの。1年に1度の逢瀬を、それしか遭えないと哀れとする見方もあれば、逆にそれをうらやむ人もいるのが地上の現実の姿でしょう。特に結婚生活わずか2年で夫を失い、夫なき後に生まれた子供を女で一つで育ててきた作者の場合は、それは単なる想像とは違う現実の重みが加わってきます。
掲句もまた、句としては気品と正しさが感じられますが、やはり同時に底知れない情念のようなものの気配がうごめいているのも無視できません。「ともしけり」という句の結びには、地上のそれとはまた勝手が異なる天上の恋の作法に則って、厳かに儀式次第を進めていこうとしているようなある種の凄味さえ感じられます。
13日にてんびん座から数えて「腹の底」を意味する4番目のやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、頭で考える以前ところで抱き続け燃やし続けている思いや衝動を少しでも昇華していくことが求められていくでしょう。
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金太郎飴のような私は本当に私なのか
今週のさそり座は、自分自身という“自然”の当たり前を捉えなおしていこうとするような星回り。
フランスの庭師ジル・クレマンが、自身の庭づくりやそこで大切にしている“生きた自然”という考え方について語った『動いている庭』という本には、「生はノスタルジーを寄せ付けない。そこには到来すべき過去などない」という一文が出てきます。
すなわち、様々な時間サイクルの中で醸成されている“生きた自然”というのは、時間の流れを直線的に捉えてしまいがちな人間の尺度には決しておさまらないのだということ。例えば、自然豊かな“田舎”に対して、都会に住んでいる人はどうしても“遅れている”、“古き良き昔がそのまま残っている”と感じがちですが、それは都市化することに価値を置く考え方を前提にしているのであって、生きた自然は多様な共生関係がつくりだす循環のなかでたえず再生され、刷新され続けている訳です。
その意味で今週のあなたもまた、どうしたら自分を硬直した直線としての時間意識から解放し、循環を取り戻していくことができるかが問われていくことになるでしょう。
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生命感覚の発露
今週のいて座は、いのちの本質としてのせめぎあいを追求していこうとするような星回り。
「牡蠣啜るするりと舌を嘗めにくる」は、殻を外したばかりの生牡蠣を食べようとして啜った人間の舌を、逆にするりとなめに来た牡蠣に対する純粋な驚きを詠んだ一句。ただし、ここで重きが置かれているのは、牡蠣の滑らかな舌触りや、食体験としての珍奇さだけでなく、自分が食べようとしているモノがまさに生き物の「いのち」であることを、作者は改めて再確認させられたということではないでしょうか。
上五の「啜る」から、中七の「するりと」「舌に」と、S音が続くのも、そうした他の生命を屠らんとする者と食べられまいとする生命の側とのせめぎあいを、じつになまなましく実感させるという点でじつに効果的です。
13日にいて座から数えて「好きな実感」を意味する2番目のやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、自分にとって望ましい“なまなましさ”がどんなものかということを、改めて手探りしていきたいところ。
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隠遁入門
今週のやぎ座は、社会離脱ないし人間離脱を何らかの仕方で試みていくような星回り。
人間はひとりでは生きていけない未熟で弱い個体として生まれてくるという特性から、社会的動物として半ば群れとして生きることを運命づけられた存在と言えますが、そんな中、時おり個が抑圧された自己を取り返そうとして、群れから離脱しようとする現象が起きます。
それは単なる気まぐれや病気のためばかりという訳ではなく、ふと個のうちに宿り、あるいは噴出した大いなる夢や抑えきれない悲しみに目をくらまされたのかも知れません。
その向こう側に待ち受けているであろう無限の苦難を忘れさせるだけの魅力を放つ離列という行為のことを、日本でも「隠遁」として尊ぶ文化を特に中世以降育んできました。今週のあなたもまた、そんな隠遁者の系譜に連なるように、みずからの離列を模索していくことがテーマとなっていくでしょう。
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神聖な生理
今週のみずがめ座は、現実と向きあうにあたって必要な生理に駆られていくような星回り。
「おかしいから笑ふよ風の歩兵たち」という句は、一兵卒として戦争に召集された作者が、中国大陸、フィリピン諸島を転戦した経験に基いて詠まれたもの。人の死が日常ふつうにある戦場においても、おかしいことはあり、それを笑うだけの理性は残っている。頭が変になって笑っている訳ではないのだ。そのなんと残酷なことか。
「風の歩兵たち」は半ば風に透けていて、死の領域に足を踏み入れている訳ですが、それは「笑い」というものが心の空隙をゆさぶるものであり、笑いのなかで自分自身のそれまで隠れていた側面が顕わになっていくということと無関係ではないはず。したがって、歩兵たちはそうして笑うことで、自分自身の愚かさ、救い難さを裁いていると同時に、人間の愚かさ、救い難さをゆるしているのだとも言えるかも知れません。
13日にみずがめ座から数えて「禊ぎ」を意味する12番目のやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、残酷な現実を曖昧にして誤魔化してしまうのではなく、きちんと向き合っていきたいところ。
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あるがままからの出直し
今週のうお座は、「心は万境に随って転ず、転ずる処実に能く幽なり」という禅語録の一節のごとし。
神経症に対する精神療法である森田療法を1919年に創始した森田正馬(まさたけ)は、さまざまな患者を観察した結果、何らかの「執着」や「とらわれ」に陥っていることから解放されることが最も重要だと考えていました。つまり、強迫神経症や不安神経症などの症状の持ち主は、自分の理想と現実のギャップに気をとられ、頭痛や不眠、強迫観念に苦しんでいる。これは患者自身の「自己判断の誤り」から生じているのだと、喝破したのです。
患者の多くは自分で勝手につくりあげた妄想にも近い葛藤に悩んでそこから脱け出さなくなっており、その規制を介助するには、たとえ現実の自分に不満があっても、その「あるがまま」の自分から出直していく気持ちになることが大切だと結論付けました。冒頭の「幽」とは「言葉では言い表せないほど見事なこと」の意で、そんな森田療法の根幹を凝縮した一字と言えます。
13日にうお座から数えて「もののはずみ」を意味する11番目のやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、現実の自分をあるがままにして目前の目的の完遂に向かっていくといいでしょう。
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