宝島社が発行する月刊誌『田舎暮らしの本』は1月4日、「住みたい田舎ベストランキング」を発表した。調査は移住定住の促進に積極的な自治体を対象に、移住支援策、医療、子育て、自然環境、就労支援、移住者数などを含む272項目のアンケート形式で実施し、645の自治体から回答を得た。
人口10万人以上の「大きな市」ランキングの1位は、愛媛県西条市だった。部門別にみると、若者世代・子育て世代・シニア世代のいずれでも首位。市内には、特急停車駅が2か所、高速道路ICが3か所、松山空港まで車で1時間弱と交通アクセスが便利な地域だ。
人口10万人未満の「小さな市」ランキング、大分県がトップ3独占
また、市内には四国屈指の製造品出荷額などを誇る工業地帯があり、求人も豊富。四国最高峰の石鎚山や瀬戸内海といった自然も豊かで、農産物や海産物に恵まれているなどの利点が挙げられている。同市の玉井敏久市長は、
「西条市は、豊かな自然に恵まれ、人気のアウトドアアクティビティも充実しています。『チャレンジを応援するまち』として、人のつながりを重視したサポートも行っていますので、ぜひ西条市にお越しください」
などとコメントを寄せている。2位は山口県宇部市、3位は静岡県静岡市だった。
人口10万人未満の「小さな市」ランキングの1位は、9年連続ベスト3の大分県豊後高田市だった。こちらも、若者世代・子育て世代・シニア世代のいずれの部門でも首位。168項目に及ぶ移住・定住支援のほか、都市機能がコンパクトな地域に集中していることなどが評価された。
「若い世代からシニアまで住みよい環境が自慢です」と話す同市の佐々木敏夫市長は、
「子育てを地域で支えるべく、子育て支援施設『花っこルーム』、全小・中学校での無料の市営塾『学びの21世紀塾』、放課後児童クラブでの学習支援といった環境を整えてきました。集いの場『玉津プラチナ通り』など、シニアに楽しいまちづくりにも努めています」
と市内の魅力をアピールしている。2~3位には同じく大分県の日田市、臼杵市が選ばれた。
「町」「村」では島根県、長野県の自治体がそれぞれ1位に
「町」ランキングの1位は、島根県飯南町。若者世代・子育て世代の2部門で首位に輝いており、住まいに関する豊富な支援制度や伝統文化、充実した教育、医療体制などが住みやすさのポイントとして挙げられている。
同町の山碕英樹町長は、
「飯南町では『医療と教育のないところに定住はない』という考えのもと、子育て環境の整備と町ぐるみの教育の推進に取り組んできました。町民の皆さんのウエルカムな姿勢と、担当職員の親身な支援のかいがあって、多くの移住者の方に暮らしていただいています」
と移住支援の成果を語っている。
また、総合2位、シニア世代部門の1位だった北海道沼田町の横山茂町長は「まちづくりのコンセプトは『子育て満足度日本一』です。小・中一貫・連携教育、中学生以下医療費ゼロや高校生への手当など、制度や支援を充実させています」と充実した子育て支援をアピールしている。
「村」ランキングの1位は、長野県宮田村。子育て世代を中心に高い評価を得ており、生活圏が半径2キロ以内に集中していることや、雪があまり降らないことなどがポイントになったようだ。
同村の小田切康彦村長は「ふるさとを愛する『郷育』に力を入れています」と前置きした上で、
「子育て支援や福祉支援に真剣に取り組み、若者からお年寄りまで、過ごしやすい環境づくりに力を入れています」
と力を込めている。
2位の長野県木島平村も、若者世代・シニア世代の2部門で首位に輝いている。日台正博村長は「木島平村は樽川、馬曲川によって形成された扇状地です。豊かな水と肥沃な大地はおいしい農産物を育み、特に木島平米は評価が高く『村長の太鼓判』はブランド米になっています」などとコメントを寄せている。