2021年01月04日 10:41 弁護士ドットコム
月々の養育費をもらわないという約束で、モラハラ夫の圭太(41)と離婚してしまった真理子(34)。その代わりに「教育にかかるお金を支払う」という取り決めをしましたが、離婚から1年すると圭太は「もうお金振り込まないから」と勝手なことを言い出しました。
【関連記事:【前編はこちら】「オレを休ませる気はある?」育児放棄のモラ夫、嫌がらせは離婚後も続いて…(上)】
「今思うと、とても不利な条件だったなあ」と離婚当時の自分を悔やむ真理子。この状況って今からでも変えられないのでしょうか?
真理子は弁護士の元を訪ねることにしました。
前回はこちら
●「オレを休ませる気はある?」育児放棄のモラ夫、嫌がらせは離婚後も続いて…
弁護士の元を訪ねると、「離婚後でも養育費を求めることができる」と教えてもらいました。
山田訓敬弁護士によると、養育費について私たちのようにきちんと取り決めをしないまま別れる夫婦は少なくないそう。ですが、養育費を支払わないという合意は、少なくとも子どもとの関係では法的効力はないと知りました。
山田弁護士は「離婚後に相手が養育費の取り決めをしていなかった場合でも、養育費の支払を求められます。そのためには、家庭裁判所に養育費請求調停の申し立てをする必要があります」と話していました。
山田弁護士によると、養育費の請求がどこまでさかのぼって認められるかは、裁判所の見解も分かれているところだそうです。
「実務的には、原則として養育費の請求をした時(通常は調停申立時とされるでしょう)以前の過去にさかのぼっての請求を認めない傾向にあります。
ただ、さかのぼっての請求自体は違法ではありませんので、粘り強く請求をすることも一つの方法だと思います。
また、養育費の額は、父親と母親の収入や資産、子どもの年齢など色々な事情を考慮して決められることになります」(山田弁護士)
そうして、私は養育費請求調停を申し立てました。
家庭裁判所では、調停委員の方が、子どもの年齢や人数、それぞれの収入をはじめ、あらゆる事情について聞き取りをおこない…
それぞれの事情を踏まえて、調停委員から、「養育費算定表」を元に夫の収入と私の収入を照らし合わせると、月に4~6万円ほどの養育費をもらう権利があると分かりました。
調停はなんとか進み、養育費が支払われる方向で決着がつきました。調停調書が作られ、それに従って養育費の支払いがなされることが決まりました。
まさか、離婚してからでも養育費をもらえるとは思っていなかったので、ひとまずプレッシャーから解放されてホッとしました。
パートの合間をぬって離婚調停の手続きをするのは骨が折れましたが、諦めなくてよかったと思います。
これから亜美と2人で頑張って、前を向き生活していくことができそうです。
(この漫画は実話を元にしたフィクションです)
【取材協力弁護士】
山田 訓敬(やまだ・くにたか)弁護士
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、交通事故や遺産相続・離婚等の個人トラブルの分野にも力をいれている。特に、個人の分野では、相談者の「悩みを思い出に!」をモットーに、相談者の悩みを親身になって聞いてもらえると好評である。また、コロナ禍になってからはオンラインでの相談にも注力しており、全国から問い合わせがあっている。
事務所名:弁護士法人山田総合法律事務所
事務所URL:https://www.yamaben.com/