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結婚後に「私、宗教に入ってるの」と告白した妻、近所で布教活動まで…夫は「もう限界です!」

2021年01月03日 10:31  弁護士ドットコム

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「結婚した後に、妻から、ある宗教の信者だと告げられました。近所の人に布教活動をしたり、私が稼いだお金を宗教につぎ込んだりしています。価値観の違いを感じ、離婚を考えています」。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。


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相談者は最初は妻の思わぬ告白に驚いたものの、黙認していたそうです。ところが、そんな夫への甘えもあってか、妻は宗教にお金も時間も使っていくようになりました。



妻は専業主婦ですが、家にいる時間よりも宗教に費やす時間の方が長く、宗教につぎ込むお金は相談者が稼いだもの。話し合いをしようにも、聞く耳を持たないそうです。



相談者は妻と離婚したいと考え始めていますが、裁判所が離婚を認めてくれるのか不安な様子です。原口未緒弁護士の解説をお届けします。



●「信仰」のみを理由に離婚はできない

ーー妻の信仰を理由に離婚することはできるのでしょうか。



信教の自由は、憲法でも保障されている重要な人権です。「配偶者の信仰が理解できない」「自分の信仰する宗教と違う」などの理由だけでは、裁判所は離婚を認めないでしょう。



ただ、配偶者の宗教活動がいきすぎている場合は、離婚が認められる可能性があります。たとえば、家事や育児を放棄して宗教活動をおこなっていたり、家計を圧迫するほど多額の寄付や宗教活動のために多額の借金をする、子どもを学校に行かせず、宗教活動に参加させている、信者と集団生活をし、長期間家に帰らないなどの状況がある場合です。



このように、宗教活動が一般常識の範囲を超えていて、家庭生活に支障を及ぼす場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚原因になる可能性があります。



このような過度な宗教活動の証拠を残しておくことも重要です。ただ、それほど過度ではない場合、離婚は難しいでしょう。



●離婚の決意が固ければ、別居をするという選択肢も

ーー相談者が「妻とどうしても離婚したい」「一緒に暮らすのはこりごりだ」と思っているにもかかわらず、妻が離婚に応じない場合は今後どうすればよいでしょうか。



そうであれば、奥様を説得することは諦めて、家を出る覚悟をするしかありません。



「長期の別居」は、離婚理由になり得ます。現在の裁判所は、婚姻関係が破たんしているかどうかを判断する際、「別居期間」を重視するからです。将来的には「長期の別居」を理由に、婚姻関係の破たんが認められ、離婚できる可能性が高いでしょう。



ただ、別居にあたっては一つ注意点があります。仮に、奥様が専業主婦で収入がなければ、相談者が家を出た後、生活できなくなる可能性があります。そのような場合、相談者は、婚姻費用(別居期間中の生活費)を奥様に支払わなければなりません。



すぐに離婚が認められることが難しい以上、数年間は婚姻費用を負担する覚悟をしてください。きちんと婚姻費用を支払うことで、離婚が認められやすくなることもあります。



●別居や離婚の決心がついていない場合は?

ーーもし、まだ別居や離婚の決心まではつかず、円満な夫婦関係の回復を望んでいる場合はどうすればよいでしょうか。



そのような場合は、奥様とじっくり話し合ってみてはどうでしょう。



どうして奥様がその宗教にのめり込んでいるのか。宗教に依存・執着せざるを得ない理由は何なのかについて、ご夫婦で一緒になって、考えていかれるとよいと思います。



宗教を完全にやめさせることは難しいかもしれませんが、奥様の話を聞き、気持ちを汲み取ることで、宗教への依存が落ち着くかもしれませんよ。




【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com