2021年01月02日 09:41 弁護士ドットコム
「電車の吊り広告だけど、ホントにそうだと思います」。ファミコン名人として知られる「高橋名人」こと高橋利幸さんのツイートが12月、話題となった。
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これは2020年7月1日から始まったACジャパンによる「日本動物愛護協会」支援キャンペーンの広告をさす。
段ボールに入った犬を前に「いままで、ありがと」「親切な人に、見つけてもらってね」と涙する親子が描かれている。一見あたたかい世界のように見えるが、「優しそうに聞こえても、これは犯罪者のセリフです」としている。
さらに「どんな理由があろうと、どんなに心を傷めようと、動物を捨てること・虐待することは犯罪です」と訴えている。
ペットトラブルに詳しい佐藤塁弁護士は「2019年の法改正によって、動物の遺棄行為は懲役も科される可能性が出てきましたので、決して軽い犯罪ではありません」と注意を呼びかける。
「動物を捨てる行為は、動物の愛護及び管理に関する法律第44条3項の『愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する』に該当します。
そして、虐待なども含めた、動物の愛護及び管理に関する法律違反で起訴される件数は、少しずつではありますが、年々増加の傾向がみられます」
この法律がさだめる「愛護動物」には、何が当てはまるのだろうか。
「第44条4項で『牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる』、『人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの』とされています。
犬や猫だけでなく、最近インスタなどで人気のコツメカワウソなども含まれ、一般的に飼っているペットはほぼすべて該当します」
犬や猫だけでなく、一般的なペットのほとんどが対象ということだ。
自らもポメラニアンを飼っている佐藤弁護士は、この広告について「非常にインパクトがあり、ペットの遺棄や虐待がれっきとした犯罪であることを認知してもらうのに良い広告だ」と話す。
「ペットはとてもかわいいので、飼い始めるときには大変なことをあまり考えないことも多いようですが、実際に飼い始めると、毎日餌やりや散歩などの世話をするのは当然のことながら、旅行は自由に行けない、吠えてご近所さんに迷惑かけてしまう、状況の変化で経済的な負担が重くなるなど、大変なことはいくらでもあります。
ACジャパンが指摘するように、飼っていたペットに悪いという気持ちがあろうとなかろうと、犯罪は犯罪です。
安易にペットを飼うことは控えるとともに、飼い始めた以上は責任をもって飼い続けていただきたいですね。ペットを飼っていれば大変なこともありますが、それ以上の幸せを飼い主さんに与えてくれます」
【取材協力弁護士】
佐藤 塁(さとう・るい)弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所代表弁護士。東京弁護士会所属。ポメラニアンのフワを飼っている。近年はペットに関するトラブルが多くなってきたので、ペットトラブルで悩んでいる方向けに弁護士の視点での「ペットに関するトラブルQ&A」のサイトを運営している。
ペットトラブルサイトURL:https://pet-bengoshi.jp/
事務所名:弁護士法人ネクスパート法律事務所
事務所URL:https://nexpert-law.com/