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ゴーン被告人の元弁護人、弘中惇一郎弁護士らが国賠提訴 「法律事務所を家宅捜索をしたのは違法」

2020年12月23日 15:41  弁護士ドットコム

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日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告人が中東レバノンに逃亡した事件で、東京地検が法律事務所を家宅捜索をしたのは違法だとして、ゴーン被告人の元弁護人だった弘中惇一郎弁護士ら8人が12月23日、国を相手取り297万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。


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ゴーン被告人は2018年に金融商品取引法違反などの罪で起訴され、保釈中の2019年12月に国外逃亡した。弘中弁護士はゴーン被告人の弁護人を2020年1月16日に辞任したが、東京地検は1月29日に弘中弁護士が代表弁護士をつとめる「法律事務所ヒロナカ」(東京都千代田区)の会議室などを捜索した。



弁護士は刑事訴訟法105条により、業務上委託を受けた他人の秘密に関するものについて、押収拒絶権が保障されている。



提訴後に会見した弘中弁護士は「押収拒絶権について裁判所が正面から判断したものはない。その位置付けと内容を明確にし、今後同じような違法捜索ができないようにしたい」と話した。



●会議室の扉をドリルで破壊

訴状などによると、東京地検の検察官は1月29日午前11時半ごろ、どこからか入手した鍵で事務所裏口を解錠し事務所に侵入。



弁護士は「押収拒絶権を行使しており、執務スペースの捜索も拒絶する」と述べたが、検察官は執務スペースの各弁護士ブースに立ち入り、弁護士に「事件のファイル」「業務上作成したファイル」など置かれていたものの概要を説明をさせたという。



事務所内の会議室の扉は施錠されていたが、検察官は業者に命じて、ドリルで破壊して解錠させたという。その間も、弁護士は押収拒絶権を行使すると繰り返し述べ、検察官は午後3時ごろ退去したという。



原告側は「憲法や国際人権規約、刑事訴訟法、弁護士法いずれにも違反する、極めて悪質な違法性の高い行為」と主張。



事務所に対する捜索は「必要性も実益もないことが明らかであるのに、あたかも弁護人に違法行為があったかのような雰囲気を醸し出し、法務省に対する非難をかわすために行われた悪質なパフォーマンス」と指摘している。