岡山大学は12月、家庭で10年以上にわたり受動喫煙にさらされている大学生は、受動喫煙の経験がない学生と比較して1.5倍むし歯になりやすいことを明らかにした。
研究は、同大学病院予防歯科の佐保輝医員や教授らでつくる共同研究グループが実施。成果の詳細は11月に、スイスの学術雑誌で発表された。
研究成果は「家庭での禁煙を推進する意義を強調するもの」
同大学によると、これまでの調査で、受動喫煙にさらされている子どもの乳歯がむし歯になりやすいことは明らかになっていた。だが、永久歯が生えそろった若者を対象とし、家庭で長期間にわたり受動喫煙にさらされている状態に注目した調査はほとんどなかったという。
喫煙により唾液の分泌量が減少し、喫煙者本人のむし歯のリスクが上昇することは広く知られている。同研究グループは「家庭での受動喫煙曝露を防ぐことは、全身の健康を守るだけでなくむし歯の予防にもつながります」と改めて述べた上で、
「家庭での禁煙を推進することの意義を強調するものになりました」
と研究成果の社会的意義を説明している。
また、佐保医院は「たばこは喫煙者の健康を奪うだけでなく、周囲の人の健康も奪います。現在喫煙中の方は禁煙に向かって、そうでない方もどのようにしたら受動喫煙曝露のリスクを減らせるか、今一度考えてみませんか?」と呼び掛けている。