レッドブル・レーシングF1チーム代表クリスチャン・ホーナーは、アレクサンダー・アルボンの後任を選ぶうえで、本格的に候補として検討していたのはセルジオ・ペレスだけであると語り、ニコ・ヒュルケンベルグとは短い話し合いを行ったが、セバスチャン・ベッテルは候補としては考えなかったと示唆した。
2021年にレッドブルはマックス・フェルスタッペンのチームメイトとして、アルボンの代わりにペレスを抜擢することを発表した。アルボンはテスト&リザーブドライバーとしてチームにとどまる。
2020年シーズン後半、アルボンが翌年は外されるのではないという推測が高まっているなか、後任候補としてささやかれたのは、ペレス、ヒュルケンベルグ、ベッテルだった。
ホーナーは、ごく初期の段階での候補にヒュルケンベルグが含まれていたことを認めたが、ベッテルの名前は挙げなかった。ヒュルケンベルグとも簡単な話し合いをしたのみで、候補はペレスに絞られていったという。
「(ペレスの)他には誰もいなかった。ニコ・ヒュルケンベルグとは短い話し合いを行ったが、先月、事態が急激に加速していった」とホーナーは語った。
ペレスやヒュルケンベルグのような非常に優れたドライバーがシートを失うというのは“クレイジー”な状況だが、それはレッドブルにとっては幸運なことだったと、ホーナーは言う。
「この状況は幾分クレイジーだ。ニコ・ヒュルケンベルグは有能であり、F1で走るのにふさわしいドライバーだ」
「だが彼(ペレス)がシートを失ったことは我々にとっては幸運だった。検討する時間もあった。彼にはレースシートとして追及すべき他の選択肢がなかったため、我々はアレックスと最後までシーズンを過ごしてから決断を下すことができたのだ」
「ジュニアプログラムには適切な候補者はいなかった。それで2007年(のマーク・ウエーバー)以来初めて、プログラム以外のドライバーを選ぶことを決めた」
ホーナーは、アルボンを外すという決断を下すのは非常に困難だったと語った。しかしデータ上、アルボンとフェルスタッペンとのギャップは2020年シーズンのなかで縮まることはなかったという。
「この決断を下すのは極めて難しかった。全員がアレックスが成功を収めることを望んでいた。アレックスにシーズン最後までチャンスを与え、すべてのデータを得たうえで、決断を下すことを決めていた」
「だが、データを見て、ふたりのドライバーの対比を確認したところ、この決定が大きく推進された」
「非常に難しい決断だった。アレックスが素晴らしい人物であることで、決断は余計に難しくなった」
「だが彼は今後もチームの重要なメンバーであり、2021年にも深くかかわり、2022年の開発に焦点を当てていく。もちろん、2022年の復帰を目指し、有力な候補者となるべく集中して努力していくことだろう」
ホーナーは、ペレスの今年のパフォーマンスを称賛、レッドブルチームを強化する上で必要な人材であると確信したという。
2011年からF1で活動するペレスは、ザウバー、マクラーレン、フォース・インディア/レーシングポイントで走るなかで、これまで表彰台を10回獲得、2020年には悲願の初優勝を達成した。
2020年シーズンには、チームメイトのランス・ストロールが75点獲得したのに対し、ペレスは125点を稼ぎ、ドライバーズランキング4位に入った。
「今シーズンを通してレーシングポイントでセルジオが見せたパフォーマンスを無視することは不可能だった。特にシーズン後半は素晴らしかった」とホーナーは言う。
「彼は非常に完成度の高いドライバーだ。自分の持つマシンで期待以上の結果を出すという尋常ではない能力を持っている」
「過去に彼が達成してきた好結果、そして表彰台の回数から見て、彼の加入はチームにとってプラスになると考える。来年メルセデスに挑むために競争力の高いチームを作り上げようという我々の決意の表れだ」