2020年シーズンはマクラーレン、ルノー、レーシングポイントによる熾烈な争いが展開されたが、F1第17戦アブダビGPの決勝レースでマクラーレンのランド・ノリスが5位、チームメイトのカルロス・サインツJr.が6位に入賞したことで、マクラーレンはコンストラクターズランキング3位の座をつかんだ。
レース後にはマクラーレン勢が大喜びする一方、レーシングポイントのランス・ストロールは周回遅れのマシンに引っかかってしまったことを嘆いていた。レース後の各チームの様子を、無線とともに振り返る。
────────────────────
F1第17戦アブダビGPの決勝では、5位と6位にはマクラーレン勢2台が入り、18点を獲得。コンストラクターズ選手権でレーシングポイントを逆転し、3位となった。
マクラーレン:グレート・ジョブ、グレート・ジョブ、P5だ
ノリス:やったぜ。僕たち、やったんだ。みんな、すごいことをやってのけたんだよ。僕たちは諦めなかった。そして、最後のレースで勝ち獲った。みんなありがとう。すごい1年をみんなと一緒にレースができて最高だった。それと、もちろんカルロスとカコ、そしてチームスペイン(ノリスの担当レースエンジニアのホセ・ウイリアムズもスペイン人)にも感謝したい。君と過ごした2年間を忘れない。
マクラーレン:ええーと、よく聞こえなかったんだけど……
ノリス:えっ、どこまで聞こえていた?
マクラーレン:チームスペインとかなんとかというあたりまで聞こえていた。そこから、続けてくれ。
ノリス:ああ、チームスペインね。この2年間は本当に楽しかった。いろいろ教えてくれてありがとう。新しい挑戦がうまく行くことを祈っている。さよなら、カルロス
マクラーレン:(スペイン語で)VAMOS!!(バモス=行けーーーっ)。君の今週の走りに、みんなが釘付けになっていたよ。
ノリス:(ここでちょうどサインツJr.のマシンと並び、ノリスがサインツJr.に左手を振る)ハハハ、バモス!!
マクラーレン:よくやった。最高のレースだった。今年、チーム・ランドに加わえてもらえて、こちらこそ感謝するよ。これからも、よろしくな。ごめん、泣いちゃうかもしれない
ここでザク・ブラウン(エグゼクティブディレクター/マクラーレン・レーシング)が無線に加わる。
ブラウン:ランド、グレート・ジョブ、グレート・ジョブ、ランドーーーッ
ノリス:ありがとう、ザク!!
ブラウン:おまえってヤツは
ノリス:僕たちはみんなレースで勝ちたかったと思うけど、今日は僕たちのベストを尽くした
ブラウン:我々は控えめなんだよ(笑)。グレート・ジョブ
そして、このレースでマクラーレンを去るサインツJr.とチームも熱い会話を交わしていた。
マクラーレン:グレート・ジョブ、カルロス。P6だ。そして、我々はコンストラクターズ選手権で3位を勝ち取った。素晴らしい結果だ。なんていうシーズンだ。私はこの1年間、君の走りに魅せられてしまったよ
ここでチーム代表のアンドレアス・ザイドルが無線に加わる。
ザイドル:カルロス、アンドレアスだ。この2年間、よくやってくれた、カルロス。君の努力と君が持ち帰ってくれたすべてのポイントに感謝する。今後の健闘を祈る。
ここでノリスに追いつき、サインツJr.がノリスに右手でサムアップする。
サインツJr.:みんな、おめでとう。これはすごい結果だ。でも、みんなはそれを手にする資格がある。よくやったよ。本当にすごい1年だった。みんなのためにレースができて僕も楽しかったよ。なんていう最終戦だ。3位だ。ブラボー、みんなブラボーだ。そして、ファクトリーにいるみんな、おめでとう。ザクとアンドレアスにも感謝したい。
マクラーレン:カルロス、チームを代表して私からも感謝の言葉を贈りたい。君との仕事は本当に楽しかった。それを誇りに思っている。
サインツJr.:それは僕も同じだ。みんなは僕の誇りだ。そして、最後にみんなへ1曲、歌うよ。スムーース・オペレーターーーーッ
ここでふたりで合唱
サインツJr.&マクラーレン:スムーーーース・スペレーターーーッ
『スムース・オペレーター』とは、1984年にヒットしたシャーデーの名曲。おそらく、サインツJr.の十八番なのかもしれない。
コンストラクターズ選手権3位の座は逃したが、2台そろって入賞して最終戦を締めくくったルノーも悔いのないレースができたようだ。
ルノー:素晴らしいレースだった
ダニエル・リカルド:ああ……ありがとう。最後にいいレースで締めくくれたと思う。ありがとう、メルシー(フランス語で「ありがとう」)
エステバン・オコン:最後に抜いたぞ!!
ルノー:ハハハ、よくやったぞ。よく粘った。来年はもっと強くなるぞ
オコン:もちろんだ
最終戦が始まる前はコンストラクターズ選手権で3位だったレーシングポイントは、ペレスがリタイアしたのが大きく響いて逆転され、4位に終わった。
レーシングポイント:P10だ
ランス・ストロール:なんてこった。最後に周回遅れに引っかかって、タイヤの温度が完全に落ちてしまった
レーシングポイント:了解だ、ランス
そのストロールがファイナルラップでオコンに抜かれたことに喜んでいたのはアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーだ。
アルファタウリ・ホンダ:オコンがファイナルラップでストロールを抜いた。オコンがP9で、ストロールはP10だ。
ガスリー:イエーーース!! それいいい知らせだ。チャンピオンシップでヤツを抜いたぞ。去年は1ポイント差で負けたけど、今年は1ポイント差で勝った
ガスリーは、2019年に1点差でサインツJr.に負けてドライバーズ選手権7位に終わったが、今年はストロールと最終戦で同点に追いつき、上位入賞回数で優勝が1回あるガスリーがストロール上回り、ドライバーズ選手権10位を獲得した。
ガスリー:それから、ダニー(ダニール・クビアトの愛称)にメッセージがある。何をやるにしても、今後の健闘を祈っている
アルファタウリ:ダニー、P11だ
クビアト:最初のスティントですべてが決着したね。アンダーステアがひどくて、完全にいいカモだった