2020年12月21日 10:42 弁護士ドットコム
コンビニ内で暴れた男性が器物損壊容疑で逮捕される事件が12月10日、兵庫県で発生した。暴れた理由は、トイレの無断使用を店員から注意されたからだという。
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地元紙の神戸新聞によると、注意を受けて男性は激高。レジに設置していたアクリル板1枚を壊したとされる。供述からすると、酒に酔っていた可能性があるようだ。
公衆トイレの数は限られており、コンビニのトイレに救われたという人も多いのではないだろうか。だが、マナーが悪い客がいるため、トイレを閉鎖している店舗もある。
「トイレを汚す人はもちろん、中で購入前の商品を食べてしまう人、携帯の充電やゲームをする人、トイレットペーパーを盗む人などもいる。水道代や掃除の手間もバカにならないし、問題を起こす人はそもそも商品を買ってくれない。うちは本部の手前あけているけど、閉鎖したいという店は多いと思います」(あるコンビニオーナー)
よほどのことがなければ処罰されることはないだろうが、そもそも「一声かけてください」などの張り紙を無視してトイレを利用すると、理屈上は建造物侵入罪に当たる可能性もあるという。近藤公人弁護士に聞いた。
建造物侵入罪の「侵入」とは、他人の看守する建造物に管理権者の意思に反して立ち入ることをいいます。
従って、店主が明確に「トイレのみの使用を禁じる」と記載されているのに、トイレの使用のみの目的で店舗に入った場合には、建造物侵入罪が成立します。
「トイレの無断使用禁止」の張り紙の内容に従う必要があるでしょう。商品を購入し、一言店員に声をかけて、使用することが無難でしょう。
ところで、店主が商品購入者以外の立入禁止を明確にしていないときは、どうなるのでしょうか。
管理権者が予め立ち入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立ち入りの目的などから見て、現に行われた立ち入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、建造物侵入罪が成立するという判例があります。
コンビニのトイレは、コンビニで商品を購入する人のためのトイレですから、商品を購入する目的がなく、単にトイレ利用目的で店に入った人は、店長から容認されていないと思われますので、基本的に犯罪は成立します。
ただし、店舗の広さ、人の出入りの状況、店舗の管理状況、管理権者の態度、立ち入りの目的などから、例外的に犯罪が成立しない場合もあると思います。
建造物侵入罪だけが立件されるのは珍しく、一般的には、強盗罪と建造物侵入罪とか、窃盗罪と建造物侵入罪とか、何か他の罪と合わせて立件されることが多いです。
【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/