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実は既婚者だったカレ「詫び金30万円で」 5年も付き合ったのに安くない?

2020年12月20日 08:41  弁護士ドットコム

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5年間交際した男性が実は既婚者だったので、謝罪として30万円をもらったが、これは相場の金額なのか――。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。


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30代の相談者は相手の男性が独身だと思い、交際を続けていた。婚約などはしておらず、週に2回ほど食事に出かけるなどし、肉体関係も持っていた。



しかし、つい最近になって、男性のものと思われるSNSを発見。そこには、男性の妻と生まれたばかりの子どもの写真がアップされていたという。



相談者が電話で問い詰めると、男性は既婚者であることを認めた。男性が提示した慰謝料は30万円。早く関係を終わらせたい思いで了承し、金銭を受け取ったが、やっぱり「5年間で30万円は安いのでは」と感じている。



●「貞操侵害」を理由に賠償請求をおこなう

相手が既婚であることを隠して、そのことに気づかずに交際を続けていた場合、相手に慰謝料を請求することは可能だ。



瀧井喜博弁護士によると、相手との婚姻を信じて交際を続けた女性の「貞操」や「性的自由」などの人格権を侵害したことを理由に、慰謝料を請求することが考えられるという。



「交際相手に独身であると嘘をつかれて、性的関係をもった場合、『貞操侵害』を理由に賠償請求をおこないます。



この貞操侵害とは、簡単に言えば『自由意思で既婚者と交際したわけではない』人が、相手方に独身と嘘をつかれ、交際し性的関係をもった時に発生します。



つまり、交際開始時に相手方に独身であることを確認したり、独身であると信じることが相当である場合には、貞操侵害が認められる可能性が高まります。



今回の相談者が、交際開始時に相手方に独身と確認し、または、婚活アプリやお見合いで知り合った場合等には、貞操侵害にあたると考えられます」



●悪質なケースでは「200万円以上」の請求が認められることも

では、このような場合における慰謝料は一般的にどの程度になるのだろうか。瀧井弁護士は、つぎのように説明する。



「一般的に、相手が既婚であることを隠して交際していた場合、婚約まで成立していたケースに比べて慰謝料は少なくなる傾向にあります。



数カ月といった短期間の交際であれば30万円程度の慰謝料となることが多いですが、悪質なケースでは200万円以上の請求が認められた裁判例もあります」



瀧井弁護士によると、裁判では年齢そのもので慰謝料額が上がるとは考えられていないが、行為態様が悪質であれば、慰謝料額に影響する可能性はあるという。



●交際期間が長いと慰謝料額は上がる?

相談者は、男性との結婚は真剣には考えていなかったようだ。しかし、交際期間は5年間と長期に及んでいる。交際期間が長ければ、慰謝料額は上がるのだろうか。



「慰謝料額は交際期間のみならず、相手方の行為態様の悪質性(どのように嘘をついていたのか等)、交際内容等、総合的に見て判断されます。



そのため、交際期間の長さは慰謝料額に影響はするものの、単に交際期間が5年に及ぶという事実一点のみをもって、慰謝料額が増額されるわけではありません。



一方で、長年巧妙に独身であると嘘をついていた場合には、行為態様が悪質と判断され、慰謝料額が100万円程度になる場合もあります(東京地判令和元年12月23日)。今回の相談者も、5年の交際期間の間に何度も独身であると積極的に嘘をつかれていた等の事情があれば、受領した30万円より慰謝料額が増える可能性もあります。



このように、貞操侵害が認められても、損害額は、交際内容、相手方の行為態様等によって変わってきます」



しかし、相談者はすでに30万円を受け取っている。このようにいったん金銭を受領すると、その後改めて増額請求をおこなっても、既に解決済みとされる場合もあるという。



「相手方が既婚者であると知って、思わず問い詰めてしまうお気持ちはわかります。しかし、慰謝料が発生するケースか、発生するとして慰謝料額がどの程度かは、多分にケースバイケースなところがあるため、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします」




【取材協力弁護士】
瀧井 喜博(たきい・よしひろ)弁護士
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、ずば抜けて楽しい職場環境の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。
事務所名:弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
事務所URL:http://takiilaw.com/