2020年12月20日 08:31 弁護士ドットコム
指導に逆ギレした新入社員に「不倫している」とデマを流されてしまったーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。
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相談者は、4月に入ったばかりの新入社員に対して指導をおこなってきました。ところが、新入社員は指導に納得がいかず、指導にあたった相談者と他の先輩社員(女性)を逆恨みしていたようです。
ある日から、新入社員は「相談者と先輩社員が不倫をしている。そんな事で良いのか」などと社長に何度も電話するようになりました。相談者によると、不倫の事実はないそうです。
相談者は、社長からの信頼を失って左遷させられるのではないのではないかと不安を抱いています。このような場合、どのような対応が求められるでしょうか。鈴木謙吾弁護士の解説をお届けします。
ーーもし、新入社員のデマによって、相談者が左遷などの処分を受けてしまった場合は、どうすればよいでしょうか。
このような場合、民法上の不法行為として、会社に対して損害賠償請求できる可能性はあります。
その際、ポイントとなってくるのは会社の対応です。具体的には、会社として社員からある事実を伝えられた際、事実関係を確認することなく、懲戒処分に及ぶことが許されるのか?という点です。
会社は「社内不倫をしている」という密告があったとしても、事実関係を十分に調べずに処分すべきではありません。処分の前に事実確認をおこなうべきで、今回のように、不倫が事実でない場合には、懲戒処分は無効と争える可能性は十分にあるでしょう。
ーーもし、社内不倫が事実だった場合はいかがでしょうか。
たとえ事実であったとしても、その事実に比べて不当に重い処分をすることも問題視されます。仮に、社内不倫があったとしても、円滑な企業活動に支障をきたすような社内秩序の混乱が認められない限り、懲戒処分は認められにくいというのが、裁判所の傾向です。
ーーデマを流した新入社員に法的措置をとることはできるのでしょうか。
虚偽の報告をしたことで、仮に相談者が不利益な処分を受けることになった場合には、新入社員に対して、損害賠償を請求することは不可能ではないでしょう。
しかし、今回のケースでは、その新入社員よりパワハラの主張がある可能性もありますし、事実関係の精査も簡単ではありません。
相談者としては、デマを流した新入社員ではなく、会社との関係で問題になりうる可能性を考慮に入れて行動されるべきでしょう。
(弁護士ドットコムライフ)
【取材協力弁護士】
鈴木 謙吾(すずき・けんご)弁護士
慶應義塾大学法科大学院教員。東京弁護士会所属。
事務所名:鈴木謙吾法律事務所
事務所URL:http://www.kengosuzuki.com