WEC世界耐久選手権に参戦するTOYOTA GAZOO Racingは12月16~18日、2021年に新設される『ハイパーカー』クラスに投入する『ル・マン・ハイパーカー(LMH)』規定の新型レーシングカーのテストを、ポルトガルのポルティマオ(アルガルベ)で実施。テクニカル・ディレクターのパスカル・バセロンは「さらなる良い進化を遂げた」と語っている。
10月にポール・リカールでシェイクダウンされて以来となる3日間のプログラムで、トヨタはいまだ名称が付けられていない新型LMHマシンを走らせた。
ポール・リカールでは好天に恵まれたものの、今回のポルティマオの天候は「親切ではなかった」とバセロン。それでも、新たなハイブリッドマシンでさまざまなプログラムを完了することができたという。
トヨタは3日間、午前9時から午後7時までテスト走行を行なった。この時期の日没は午後5時直後であり、この日程でも夜間走行は可能だった。
「我々は、新たなハイパーカーにおける、実り多いテストをすることができた」とバセロンは語っている。
「ポルトガルの天候は、(初日の)水曜日は我々にとって親切ではなかったが、幸運にも残りの2日間は太陽とそこそこの気温に恵まれた」
「さまざまなテストメニューにおいて、さらなる良い進化を遂げることができた。多くのデータとドライバーからの前向きなフィードバックのおかげで、新しい車の特性についての我々の理解は、毎日の走行で高まっていった」
「我々はまだ、トラックテストプログラムの初期段階にあり、(シーズンが開幕する3月の)セブリングの前にはやるべきことがたくさんある。だが、今週の我々の仕事については、満足することができた」
トヨタのテスト&リザーブドライバーであるニック・デ・フリースは今回のテストに参加し、初めてLMHカーのステアリングを握った。
中嶋一貴と小林可夢偉は、全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦への参戦のため、ポール・リカールでのシェイクダウンと同様、今回のテストには参加していない。
ポルティマオにおけるテストメンバーのひとりであったホセ・マリア・ロペスは、短い開発期間にもかかわらず、トヨタはLMH車両の性能について楽観的であると述べている。
「僕らは開発の、極めて初期段階にいる」とロペスはSportscar365に対して語っている。
「これまでのところ、新しいものにはほとんど適応し、改良することができている。次のレース(開幕戦)まで、時間は限られているけどね」
「詳細について話すことはできなけど、とてもいいクルマだよ。最初のテストの時点で非常に良かったし、走行距離を稼ぐこともできた」
「このような複雑な作りのクルマでは、最初から好感触と走行距離を得られることは、非常に印象的だ。長い間のこのテクノロジーに取り組み、素晴らしい仕事をしてきたチームのおかげだよ」
トヨタは現在のところ、1月11日に正式発表される予定の新型LMH車両の技術的な詳細について、堅く口を閉ざしている。