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亜咲花、自身初のオンラインライブで“復活”以上の“スケールアップ”を堂々提示

2020年12月18日 12:02  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
●届けることもつながることも大事にした、久しぶりのワンマンライブ
11月20日、アニソン歌手・亜咲花による自身初のオンラインライブ“亜咲花ワンマンライブ2020~ERA~”が開催。今年春の、声帯ポリープの除去手術明け初となるワンマンライブは、”完全復活”どころかさらにスケールアップした姿をみせる、無観客であることが実に惜しく感じられるものだった。

○●細部まで磨き上げ抜かれた歌声で、序盤から圧倒

まずはOP映像流れるなか、今回演奏を務めるガールズバンドの面々が登場。続いて背景のLEDスクリーンに映し出されたカーテンが開いたら、「Last Friday Night」から約1年ぶりのワンマンライブがスタートする。

リリックビデオを背負いつつ、笑顔満開で歌声の花を咲かせていく亜咲花。ブランクを感じさせないパワフルな歌声をサウンドに乗って響かせていけば、そのまま「Never ending true stories」と2曲連続のダンサブルなナンバーで“金曜の夜”を演出。グルーヴ感を感じさせる歌唱は、再びこの曲でフロアを埋め尽くしたオーディエンスが踊る姿を見られる日を待望させるものだし、Dメロの歌い上げも伸びやか。抜群のパワー感も見せつけてくれた。

歌唱後のMCでは、改めて手術後手術後初となるライブであることに触れると、「ポリープを取ったからこそ歌えるようになった曲も歌います!」と宣言し、カメラの向こうのファンの期待を高める。

また、オンラインライブという形式については「SOLD OUTがないし、世界中の人が観てくれる。オンラインの可能性は無限大!」と高らかに声を上げると、「ここからは攻め攻めで、アニソン歌手だからこそみせられるパフォーマンスを!」と宣言。現在放送中のTVアニメ『ひぐらしのなく頃に 業 』のOPテーマ「I believe what you said」からライブを再開する。

イントロが流れるのと同時に、彼女の視線は一瞬にしてシャープなものへと変わり、歌い始めの頃には不敵な笑みさえ浮かぶものに。歌声の圧自体は変わらないものの、Bメロ中の単語のひとつ「said」での声の広がり具合でゾクリとさせたり、2サビ「麻酔のように」でロングトーンを高らかに歌い上げたかと思えば直後の「落ちて」のフレーズをスーッと抜き気味で歌いミステリアスさと凛とした雰囲気を歌声で表現したりと、直前の自身の言葉を早くも有言実行してみせた。

かと思えば続く「SCREEEAM!!!」では、歌唱中にボルテージが急上昇したのかスピーカーに脚をかけ、サビでは巻き舌を用いて歌声にワイルドさを付加。有観客であれば間違いなくフロアを巻き込み熱く燃え上がらせるであろうこの曲での、前述のようなパフォーマンスに、心を滾らせたファンも多かったのではないだろうか。

後奏ではコールを呼びかけて最後に“一緒に”スクリームを決めると、そのままタオル曲「Round of new thing」へ。ここでもいつものように、ファンへのタオル回しや手振りの呼びかけも織り交ぜながら歌唱。落ちサビから大サビ前の歌い上げの力強さを筆頭に、楽しみながら聴く者を圧倒する歌声を、ここでもみせてくれた。

○●オンラインで実現させた、“ファンと一緒”にライブする場

歌唱後の「これが1年ぶりのワンマンってやつかー!」の言葉も含めて、久しぶりのライブを堪能している様子の亜咲花。最近では歌以外の活動も多岐にわたる彼女だが、「軸はあくまでアニソン歌手!」と語り、「しっとりめの、思い入れのある曲を……」とスローなバラード「Marine SNOW」へ。

柔和な表情で包み込むような歌声を披露し、2サビ入りの優しさや情感の詰め込み方も実に見事。序盤から終始背負った背景映像や、ドローンから見下ろしたステージはまさに静かな海の底のようで、神秘的な雰囲気をステージ演出でも感じさせると、今度はグルーヴ感あるサウンドやベースに乗せて、大空へと想いを放つように歌声を響かせゆく「Singbird」を披露。

特に3-Bメロの歌詞をこのタイミングで自身の歌声で世界中へと発信していたことに、非常に大きな意味があったのではないだろうか。彼女が笑顔で送ったメッセージは、きっとたくさんの人の胸へと届いたことだろう。

そしてMCで「バラードは言葉一つひとつが私にも染み込んでくるし、みんなにも気持ちが届いていたらいいな!」との言葉でまとめると、背景のスクリーンにはビデオ通話でつながったファンの顔がずらりと登場。ここからは、ファンクラブ会員限定で参加者を募集した、参加型コーナーのはじまりである。

思い思いの場所からこの大切なライブを楽しんでいる姿がスクリーンに映し出されただけではなく、このライブ会場からの映像もその画面のひとつに。ファンと亜咲花が、スクリーン上に”集った”形となった。

その光景をバックにしつつ、「ずっとずっと信じて待ってくれていたみんなに感謝を込めて……」との言葉に続けて亜咲花が歌い始めたのは、「The Sunshower」。ファンとの“集い”のなかで彼女は、ひだまりのようであり、それでいて包み込むような大きさも感じさせる歌声が穏やかなサウンドと溶け合わせていく。

目の当たりにしたその光景が、不意に胸をジーンとさせてくれた。さらに間奏部分ではコメントも目にしつつ、Dメロでは“オンラインシンガロング”も行ない、大事なファンとの”一緒”のひとときを味わう。歌唱後、「みんなの顔を見ながら歌えたのが、本当に嬉しい!」と改めて口にした亜咲花の表情は、この日いちばんに輝いたものだった。

そしてライブはもうひとつのお楽しみ、亜咲花のワンマンライブ恒例・アニソンカバーコーナーへ。この日も語られた「“歌手”ではなく“アニソン歌手”になりたかった」という彼女ならではの、こだわりのコーナーだ。まず1曲目は原作シリーズの新刊発売を直前に控えた、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』OPテーマ「冒険でしょでしょ?」。

ただパワー全開で圧倒するわけではなく、ポップなサウンドにマッチさせながらもエネルギッシュな歌声は、ただの“カラオケ”では終わらない素晴らしいバランスのもの。正直音源化してほしい。続く、TVアニメ『天元突破グレンラガン』OPテーマ「空色デイズ」も、楽しさは前面に出しつつ爽やかなロックサウンドに沿い、先ほどよりは多少パワーの出力をプラスするという微調整も。

加えて間奏ではバンドメンバーのほうを向いてくしゃっと笑い合い、仲間とともに歌える喜びも強く表すと、最後に「アニソン、サイコー!」のシャウトとジャンプエンドでアニソンカバーコーナーを締めくくった。

●“感謝”と“自覚”が、亜咲花をさらに大きな存在に
○●アニソン歌手だからこそ届けられる曲とともに、見せ続ける進化

歌唱後には、来年TVアニメのSeason2が放送される『ゆるキャン△』の話題に移ると、TVアニメ1作目のOPテーマ「SHINY DAYS」から終盤戦スタート。虹色のグラデーションの中さまざまな“△”が飛び交う映像を背負い、満面の笑みでクラップを煽りながら、歌声でもステージングでもハッピーをカメラの向こうの世界中へと膨らませて広げていく。

Dメロ序盤の高音部も陽射しのようにぱあっと明るく歌い上げると、いつもならばコール・アンド・レスポンスのポイントとなる落ちサビはカメラの向こうに呼びかけつつの歌唱。きっとカメラ越しに世界中のみんなとの、同時多発的なシンガロングが起こっていたはずだ。

続けて今度は『ゆるキャン△』イメージソング「Isn’t It Fun?」を歌唱。青空の映像を背負いながら、高音多めのメロディを巧みにファルセットも交えながら歌うことで、彼女の歌声もより晴れやかさを増したような印象。

その音楽の陽射しにアツくなったからか、上着を脱いで笑顔で歌唱。複雑なDメロの旋律もしっかりと歌いこなし、ラストのロングトーンや間奏のスキャットではソウルフルさも感じさせ、カメラアピールも忘れない――こうして思いっきりエンジョイしつつ濃い1曲を完成させると、同じシングルに収録された「1000miles」へ。カントリー調で’80sの洋楽テイストのこの曲もまた、旅の途中を思わせる曲。楽曲のリズムに乗りつつ力を入れずにボリューム感をもたせた歌声に、改めて凄さを感じた。

そんな楽しい旅の向こうに待つのは、ワンマンライブ本編のラスト。ライブ全体を振り返って「アーティストとして、とてもいい経験をさせていただきました。濃かった!」と総括し、「アニソン歌手だからこそ届けられる曲って絶対にあるはずなので、これからももっといろんなアニメに関わってアニソンを歌っていきたいです。

自分も夢を見せていく立場になってきたと思うので、今日はアニソン歌手になってよかったなという感謝の気持ちを歌に乗せて伝えたいと思っています」と、キャリアを重ねた今だからこその想いを改めて口にすると、「終わらない夢」の歌唱へ。

温かくも要所では力強さを乗せて、この曲に込めた芯を感じさせるボーカルワークをみせていく亜咲花。それが非常に自然に行なわれているのを目にして、この曲と彼女のさらなるシンクロを感じさせられた。落ちサビでも想いが込みあげて声を詰まらせることもなく、しっかりと大事なメッセージを届けていく。

自身のこれまでを振り返る曲であるのと同時に、今ではこの曲は、多くの人の背中を押す曲にもなり始めていることだろう。そして「最後はみんなで一緒に歌うよー!」とのシャウトからスタートした本編ラストナンバーは、「Eternal Star」。最後まで歌声はまったくパワーダウンすることなく、安定感は抜群。

そのうえで、落ちサビではサウンドに合わせて清涼感も感じさせるなど、さらに細部にまで磨きがかかっていたことがわかる。加えて1サビの最後には投げキッスも織り交ぜるなどカメラアピールもバッチリ決め、視覚面でも隙を見せないまま、ジャンプエンドとともに本編を締めくくった。
○●“ならでは”の選曲で、After Showまで楽しみ尽くす!

本編終了後には、ファンクラブ会員限定チケットを購入した方のみが参加できるAfter Showを開催。リメイクしたライブTシャツにお色直しして亜咲花とバンドメンバーが登場し、コメントも拾いながらバンドメンバーとの心の距離感の急接近ぶりなどの話題に花を咲かせると、トークのみにとどまらず歌唱も披露。

「今までバンドでやったことがない曲がいいな!」というコンセプトのもと「GET DOWN」を選曲する。楽曲のテーマやそこに込めるメッセージも大事にして力強さも盛り込みつつ、時折こぼれる笑みからは、アフタートークでも本編同様にライブを心から楽しむ心持ちが感じられた。

バンドメンバーも交えた笑いの絶えないにぎやかなトークも挟みつつ、続いては久しぶりにバンドを背負っての歌唱となる「ILLUMINA」を披露。水を飲んで気持ちを一瞬で切り替えると、シリアスなミドルバラードに、伸びやかで澄んだ歌声を乗せていく。

しかもただ気持ちよく歌うだけではなく、歌唱後には「今歌うと歌詞の深さを感じる」と、歌唱中に実感した自身の成長にも言及。持ち歌の中に多いミドルナンバーを歌えたということについての喜びも、あわせて語っていた。

そしてAfter Showも、いよいよラストの曲へ。「本当は目の前に来てもらいたかった気持ちもあるけど、ライブ後にも安全にみんなに生活してほしいから、この決断を後悔していません。もしまたオンラインライブがあったら、今日学んだことを踏まえて世界中にアニソンを届けたいです!」と改めてメッセージを送ってから歌い始めたのは、彼女の人生の中でも特に大事な存在のひとつとなった「Edelweiss」。

しかし今日は、感極まるようなことはない。Bメロ前には「いくよー!」と普段どおりにファンへとジャンプを煽るなど、いつもどおりの笑顔のステージをみせることで、画面の向こうのみんなに寄り添う勇気の歌として届けていたように感じられた。最後に改めて、感謝も込めたジャンプエンドと「まったねー!」の言葉を送り、アフタートークも終了。久々のワンマンライブは、大成功に終わったのだった。

ノドの手術という、大きな決断を乗り越えてワンマンのステージに立った亜咲花。リハビリ等、表には出さない努力も積み重ねて帰ってきたであろう彼女の歌声は、持ち味のひとつであるハスキーさは残しつつも、従来以上にスムーズに声が出ている印象もあった。

それがステージ上の佇まいから余裕さえも感じさせ、彼女がひとまわりスケールアップしたような印象を、強く与えてくれる。新曲のリリースも決まっている2021年の亜咲花は、きっと今まで以上にアニソンシーンを引っ張っていく存在となるだろう。この日体感した、歌声のもつスケール感とMCで口にした自覚は、そう確信させるには十分すぎるものだった。
○●亜咲花ワンマンライブ2020 ~ERA~

2020.11.20
【SET LIST】
M01. Last Friday Night
M02. Never ending true stories
M03. I believe what you said
M04. SCREEEAM!!!
M05. Round of new thing
M06. Marine SNOW
M07. Singbird
M08. The Sunshower
M09. 冒険でしょでしょ?(カバー)
M10. 空色デイズ(カバー)
M11. SHINY DAYS
M12. Isn’t It Fun?
M13. 1000miles
M14. 終わらない夢
M15. Eternal Star
アフターショー
M16. GET DOWN
M17. ILLUMINA
M18 Edelweiss(須永兼次)