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「命の大切さを学んで」 ハムスターを勝手にプレゼントしてくる義母…ブロックできる?

2020年12月18日 10:11  弁護士ドットコム

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義母からのプレゼントに困っている女性は少なくありません。趣味の合わない子ども服や謎の置物、センスのない手作りグッズ、義実家から出た不用品……。むげに断ることもできず、ネットでは多くの女性たちが悲鳴をあげています。


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そうした中、ツイッターではある女性がこんな悩みを打ち明けていました。赤ちゃんを子育て中の女性を、夫の母親が突然訪問。ハムスターをプレゼントしてきたそうです。



女性が育児が大変なのでと断っても、夫の母親は「命の大切さを学ぶ機会よ」といって、置いていったそうです。その後、ハムスターは他の人に無事、譲られたそうですが、女性は夫の母親が次にインコを持ってきたというツイートもしていました。



望まないプレゼントを無理やり押し付けてくる行為に問題はないのでしょうか。また、こうした義母を出禁にすることは可能なのでしょうか。加藤寛崇弁護士に聞きました。



●「贈与」はもらう側が「受諾をする」ことで成立

――望まない贈り物を嫌がる相手に押し付ける行為に問題はありませんか?



法的に言うなら、他人に物をあげる行為は『贈与』です。これは相手方(もらう側)が、『受諾をする』ことで初めて成立します(民法549条)。したがって、望まない贈り物は拒否できますし、相手が拒否しているのに押し付けることはできません。



相手が拒否しているのに無理に相手の自宅に物を置いていくのは、他人の敷地に物を捨てるのと変わりません。自宅の所有者(賃貸物件なら借主)が、置いていかれた物を引き取るよう請求することができます。



逆に、贈与として認めたうえで、置いていかれた物を自分で処分することは自由です。一旦自分の物になった以上は、それをどう処分するかはもらった側の自由です。贈与した側の期待に反した処分をしても、法的には何も責任はありません。



ただし、生き物の処分であれば、動物愛護法などの制約はあります。



――義母に対して、自宅への出入りを禁止することは可能なのでしょうか?



親族であっても、勝手に人の自宅に出入りする権利はありません。自宅が妻名義のものか賃貸物件であるなら、当然に立ち入りを拒否できます。



そうでなくとも、妻も自宅の居住者なので、自宅からの退去を求めることができます。退去しなければ犯罪が成立します(住居不退去罪)。現実に処罰されることは考えにくいですが、法的にも出入りを拒絶できることは間違いありません。鍵を義母が持っているなら、鍵穴を変えても構いません。



ただし、夫が義母の自宅への出入りを承諾していたとなると、絶対に出入りが許されない、とは言えなくなります。この場合は、もはや夫との問題と言えます。自分の親が配偶者に対して迷惑行為をくり返すのになにも対処しないようでは、円満な婚姻関係を築く姿勢に欠けると言え、離婚理由にもなりえます。




【取材協力弁護士】
加藤 寛崇(かとう・ひろたか)弁護士
東大法学部卒。労働事件、家事事件など、多様な事件を扱う。労働事件は、労働事件専門の判例雑誌に掲載された裁判例も複数扱っている。
事務所名:三重合同法律事務所
事務所URL:http://miegodo.com/