政府は12月28日から来月11日まで、観光支援策「Go Toトラベル」を全国一斉に停止することを決めた。新型コロナウイルスの感染者が全国的に再び拡大しているのを受けた対応で、年末年始の人の動きを抑制する狙いがある。
菅首相が14日に表明したのを受け、ツイッター上では「判断が遅すぎる」「予約済みの旅行は対象?」などと困惑の声が挙がっている。都内で定期観光バスを運行する、はとバスの広報は15日、キャリコネニュースの取材に「本日も午前中から『キャンセル料がどうなるか?』などの問い合わせが入っています」と答えた。
「キャンセルの数は今後、増えていくと考えています」
「昨日の夜、ニュースを見て把握しましたが、具体的な対応は社内で確認している最中です」
影響の見込みについても、Go Toトラベル停止の対象期間などを確認している段階のため、現時点ではまだ見込みが立っていないという。だが、「(予約の)キャンセルの数は今後、増えていくと考えています」とコメントした。
同社では、都内を目的としたバスツアー、と都民の利用が多い郊外を目的としたバスツアーを運行しているが、都内のツアーに関しては元々、コース数を限定して運行していたという。
「食事会場や受け入れ施設で人数制限を設けている場所も多く、バスツアーの団体で受け入れてもらうことが難しいこともあり、コースの再開ができないケースもあります」
現在は、平日で都内5コースと郊外3コース、休日でそれぞれ約2~3倍のバスツアーを運行。だが、例年多く人が利用する年末年始については、都内の感染者が増えていたのを受け、一部ツアーの予約受け付けを始めずに様子を見ていた段階だったという。
10~11月は前年同期比20%まで回復していたが……
同社によると、Go Toトラベルが始まって以降も、利用客は9月までは前年同期比5%にとどまり、10~11月にようやく20%にまで回復してきたところだった。キャンペーン適用もあり、高級志向のツアーが人気で、都内でフレンチのフルコースを味わえる一人1万1700円の日帰りツアーなどが売れ筋だという。担当者は、
「(今回のGo To停止は)感染拡大に伴う決定なので仕方ないという認識を持っています」
と話しているが、客足回復に水を差された感は否めないだろう。
同社の担当者は「まずは現状を受け止めています」とした上で、
「現状としては『いつまでの予約が対象か』など細かい情報の精査をしている段階で、お客様にご迷惑をおかけしないようにしなくてはいけません」
とコメントした。多くの旅行代理店は現在、政府の急な方針転換に振り回されながらも、消費者からの問い合わせに対応することが求められており、まさに"板挟みの状態"と言えそうだ。