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「時間の壁」超えられず 「中学教師からわいせつ行為」訴えた女性、東京高裁でも敗訴

2020年12月15日 13:51  弁護士ドットコム

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中学3年生だった15歳のときから、当時在校していた札幌市立中学の男性教師にわいせつな行為をされて、その後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したとして、フォトグラファーの石田郁子さんが、教師と札幌市を相手取り、損害賠償を求めていた裁判で、東京高裁(後藤博裁判長)は12月15日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。


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訴状などによると、石田さんは1993年3月、中学卒業式の前日に教師から呼び出され、キスされるなどわいせつな行為をされたという。わいせつな行為は19歳になるまで繰り返され、石田さんは2016年2月にPTSDを発症したと訴えていた。



●「わいせつ」の事実も確認されず

一審から争点となっていたのは、20年間を経過すると賠償請求の権利が消滅してしまう「除斥期間」が過ぎているかどうかだった。石田さん側は、PTSDと診断された2016年を起算点であると主張したが、一審判決では認められず、除斥期間は過ぎていると判断されていた。



石田さんは控訴審で「子ども時代に受けた性被害は、被害を自覚して声を挙げるまでに非常に長時間を要するため、PTSDを発症した被害時を除斥期間の起算点とすべき」と訴えていた。



また、石田さん側は教師によるわいせつ行為の事実確認をするよう求めてきたが、一審ではその点は判断されなかった。また、控訴審でも石田さん側は、除斥期間に対する判断に事実確認が必要だとして、男性教師を本人尋問に呼ぶよう求めたが、東京高裁は認めず、結審していた。



民事訴訟においては除斥期間があるが、地方公務員の懲戒処分については時効の規定がない。そのため、石田さんは提訴前に札幌市教育委員会に対して、教師に対する処分を求めていた。しかし、市教委側は「教師が否認している」という理由により処分をせず、現在に到るまで第三者による調査はおこなわれていない。