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2020年下半期の運勢も配信しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね♡
2020年下半期の運勢 今週のおひつじ座の運勢illustration by ニシイズミユカ
うそもまことなりけり
今週のおひつじ座は、秘めてきた思いがふつふつと湧き上がってくるような星回り。
「狐火(きつねび)」とは、夜に山谷や墓地などで青白く浮かび上がる燐光のこと。「わが身より狐火の立ちのぼるとは」(藺草慶子)は、身の内の激しく、秘められたエロスが狐火に化身する瞬間を詠んだものです。
闇夜のなかを妖しく光っている燐光は不思議な恐ろしさをたたえつつも、どこか胸を打つ美しさを感じさせます。おそらく、近代以前にはそうしてひとり狐火を吐いたり、はたまた、日中には表に出せない情念を燃え上がらせて狐火を起こしていた二人がそこかしこにいたのではないでしょうか。
少なくとも、人間以外のものになる敷居は今よりずっと低かったはず。あなたもまた、これまでどこか超えられずにいた一線を超えていく情熱と渇望とを改めて燃え上がらせていくことになるでしょう。
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古代人として生きる
今週のおうし座は、「脱中心」の世界観へと開かれていくような星回り。
キリスト教以前に栄えた文字を持たなかったケルト民族の代表的な装飾素材に、渦巻紋様トリスケル(Triskell)があげられます。トリスケルは古代ケルト人の死生観を表わす生、死、再生の象徴であると解釈されてきましたが、最近では火、水、土といった新たな意味付けも生じてきています。
鶴岡真弓さんと辻井喬さんの対話『ケルトの風に吹かれて』はいま改めてそんなケルト文化のどこに注目するべきか、大いに示唆を与えてくれるように思います。ケルトがあえて文字を持たなかったのは、単に未開で洗練されていなかったからではなくて、文字で表わすことができない文化をどんどん発達させていくためだったのではないか。
そしてそれは人間と自然、肉体、過去と未来などが明確に区別していく、近代合理主義的な知とはまったく異なる知の象徴的な姿でもあったのではないでしょうか。あなたもまた、自分のもとからいったんは失われてしまったものをいかにして取り戻していくべきかということについて、改めて真剣に意識が向いていきそうです。
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どすこい私、どすこい世界
今週のふたご座は、質の異なる相手とぶつかりあっていくような星回り。
「パン種を叩きつけたる息白し」(矢野玲奈)という句で読まれているのは、おそらく冬の台所でパンを作っている風景。「叩きつけたる」ほどにパンづくりに熱中しているその現場では、小麦粉の白や、エプロンの白だけでなく、吐く息の白まで重なっていくという。そう聞くと、だんだん相撲の朝稽古のような情景さえ浮かび上がってくるようです。
……いや待て。そんなはずはない。相撲とパン作りを重ねるなんて、やっぱりありえない。そんな言い分も分からないではないけれど「ひとり相撲」という立派な言葉だってあるのだから、パン作りだって立派な格闘技であり、台所だって戦場と言えるでしょう。
きっと掲句の作者もまた、そんな数々の戦いの合間で、ひとり静かに息を吐いていたに違いない。あなたもまた、どこかで自分のひとり相撲を愛しつつも、同時に誰か何かに向かって着実に開かれていく感覚を深めていくことでしょう。
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複雑化と単純化のはざまで
今週のかに座は、決まったルールをなくすための工夫をコツコツ重ねていくような星回り。
最初の小説であり、後に映画化もされた『薔薇の名前』を48歳で出版したウンベルト・エーコ。彼は2008年のインタビューで「私は予定どおりに行動することができない。朝七時から夜中の三時まで、途中でサンドイッチを食べるだけで書き続けることもある。かと思うと、まったく書く必要を感じないこともあるんだ」と答えています。
考えてみれば、何かしら自分なりの決まったルーティンを確立するべきという思考の枠にとらわれることそのものが、かえって創造的な仕事の邪魔になってしまうことだってあるでしょう。彼はトイレでも電車のなかでも仕事ができ、泳いでいるときも風呂に入っているときも創作活動ができると話しています。
あなたもまた、こうでなければいけないというルーティンへの囚われを崩していきたいところです。
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太陽は日々新た
今週のしし座は、いよいよ本領をあらわにしていくような星回り。
「死神の目をのがれつつ日日裸」の作者・清原枴童は、師の高浜虚子の斡旋で朝鮮半島に移住したり、福岡に帰ってきてからも家庭的な幸福に恵まれず、空襲で家を焼かれたりと、流転多き不運な人生を送った人。老いてなおそうした苦労のあとが句にも残っているところがあったようです。
掲句はどこか、堆積したかなしみの底がスッと抜けたような不思議な明るさを感じさせます。「日日裸」であるというのは単に無防備であるというより、いたずらに自己を主張したり、みずからの人生観を誰かに押しつけることも必要なく、ただしずかにこうして坐っているだけで十分である、という作者が得たひとつの到達でしょう。
それは枯れた弱弱しい孤独の奥に潜む、何物にも侵されることのない生命の充溢へのまなざしに他ならず、句を通して読む人を自然にそこへ連れ出してくれるような軽やかさがあります。あなたも小手先ではなく、もっと本質的なところから自分自身を表現していくとっかかりをつかんでいくことがテーマとなっていきそうです。
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家具いらなくない?
今週のおとめ座は、人生から乱調をなくしていくための一工夫する星回り。
無政府主義者の大杉栄は、かつて「美は乱調にあり」と喝破しました。これは「カオス」という言葉の語源にこの世の始まりの姿である“深淵”という意味もあることを考えれば、一種のノスタルジー趣味と言えるのかもしれません。
ひるがえって、そうしたノスタルジーを粉砕していかんとするのが、簡素さやごまかしのないことを尊ぶおとめ座の本質であり、現代社会においてそうした本質を体現していくためのシンプルな方法として、和室に住むことが挙げられます。
木造は内装もシンプルかつ伝統的な和室であることが多く、大げさな家具はいらず布団とちゃぶ台が一つずつあればそれで生活は事足りるもの。こうした家具のない暮らしというのは、和風でしか味わえない特有の快感なのではないでしょうか。あなたもいつもより少し目線を低くして、地べたにゆっくり腰を下ろせるような時間を大切にしていくべし。
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精神的な脱皮
今週のてんびん座は、身も心も若返っていくような星回り。
明治以来、ロシア文学は日本人の間で読み継がれ愛されてきました。もちろん世の中にはブームというものがあり、ロシア文学の次はサルトルなどのフランス文学だなんだと、それなりに移り変わっていくものですが、「焼鳥焼酎露西亜文学に育まる」(瀧春一)はおそらく作者の若かりし頃にあった青春の情景を詠んだものでしょう。
焼き鳥をつまみながら、安い焼酎を呑み、ロシア文学談義に花を咲かせ、人間いかに生くるべきかを問う。そんな青春の3点セットも、中年期になれば車やゴルフやビジネス書へと代わり、語られる内容もおのずと変わっていくものですが、逆に言えば、みずからを変えるのにも、流行りのものを追うより、かつての青春3点セットを再び手に取る方がずっと有効なはずです。
そして「自らを育んでくれた」という率直な感慨は、つねに「自らを問い直さねばならない」という問題意識や追及と表裏の関係にあります。あなたもまた、一周まわった自分へのツッコミを賦活剤として投入してみるといいでしょう。
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ギリギリとアハ
今週のさそり座は、みずから臨界点への到達を促していこうとするような星回り。
「ぎりぎり」という擬音語は、事態が行き着くところまでいきついた際の切迫感やぬきさしならない気配、臨界点へと近づいていく崩壊寸前の悲鳴、その際のつのる焦燥感や不安などを伝える言葉ですが、もともとはぎりぎりと錐揉みする音から来ているのだそうです。
固いものが互いにこすれ合い、じかにぶつかって軋み、やがて亀裂が入って、そこからいくつかに分かれ、次第に粉々になって砕けていく。そんなプロセスをなまなましく伝える「ぎりぎり」という語には、一方でその危うさによってひとを誘惑するという面もあります。人間に置き換えても、人をもっとも強く誘惑し注意を集めてしまうのは、臨界点のすぐそばにいる「ぎりぎり」の人。
例えばイッセイミヤケやヨウジヤマモトといったデザイナーたちの前衛性もまた、どうしたら人間を「ぎりぎり」に置いていけるかという、演出上の試みの鮮やかさにあったはずです。あなたも中心と周縁という座標軸の外側へとはみだしていく際のぎりぎり感を、身近なところから感じていくことがテーマとなっていくでしょう。
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火蛾のごとく
今週のいて座は、肚が据わって精神がスッと伸びていくような星回り。
「しも夜」とは、空が晴れて霜の降りる寒い夜のこと。「灯火のすはりて氷るしも夜かな」(松岡青羅)はそんな夜に、おそらくジッと蝋燭の炎だけを見つめているのでしょう。灯芯から立ちのぼる炎が、冬の空気のなかで澄んで長き伸びている。
「すはりて」とは「肝が据わる」などの「据わる」のことであり、ゆらめきながら真っ直ぐに伸びゆく炎のなかで、背筋を伸ばして垂直軸に沿っておのれの魂を「立て」ていく感覚をなぞっているのかもしれません。そして、そうしたあれこれをくだくだと説明する代わりに、ただ「すはりて氷る」という一語で言い切ることで、いよいよ作者の肚は決まったはずです。
俳句は短いだけに、一語一語を選び抜いて不要な要素を取り除いて最小限にとどめることが命であり、それは今のいて座に最も必要な指針と言えるはず。あなたもまた、改めてひとつの蝋燭の炎となったつもりで、新月という始まりの期間を過ごしてみてください。
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リアリティーをかき混ぜる
今週のやぎ座は、いまある恐れを手放していこうとするような星回り。
さだまさしの短編小説集の表題作である『解夏』。ある日突然医師から失明する可能性が高いという宣告を受けた30代の元教師の男は、故郷の長崎に帰って失明するまでの間地元を周って故郷の景色を脳裏に焼き付けることを決めるものの、その恐怖や喪失感から恋人とケンカをしてしまったり、ひとりやり場のない思いに苦しんでいる。
そんな折、用事で訪れた寺で、ある老人に教わったのが「解夏(げげ)」という言葉でした。「解夏」とは仏教の僧が夏に行う安居(あんど)という修行が終わる時を言い、主人公の男がたまたま寺を訪れたのがその始まりの日である「結夏(けつげ)」だったのです。主人公は老人に自分の病状や今後の経過の目安などについて話すと、老人は別れ際に「行ですな」と言い、次のように語りかけるのです。
「失明した瞬間にその恐怖からは解放される。くるしか、せつなか、行ですたい。ばってん、いつかは必ず来るとです。その日があなたの解夏です。」今週のあなたもまた、自分のなかに残っていた“おり”のような気持ちや衝動があぶりだされていくようなタイミングとなっていくでしょう。
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冬薔薇とビジョン
今週のみずがめ座は、異なる場所に花を咲かせていこうとするような星回り。
「冬薔薇や賞与劣りし一詩人」の作者・草間時彦は、戦前に胸を病んで高校を退学し、戦後しばらくも療養生活を送ったのち、昭和26年、31歳でやっとサラリーマンになった人。略歴も「学歴なく、病歴多し」と自嘲気味に書いてあり、この句は昭和29年に詠まれました。
前書きに「務めの身は」とあります。「賞与劣りし」とあるように、周囲の同僚たちに比べて自分の評価が劣っており、それが賞与の多寡という動かしようのない事実として突きつけられているのでしょう。ただし、作者は自分の生きるリアリティーは決してサラリーマンだけではない、むしろおのれの本分は「一詩人」であることの方に置かれているのだと、魂で叫んでいる。
冒頭の「冬薔薇」の慎ましくも気高い姿は、まさに作者のプライドそのものであり、この句ができたとき、作者の精神には病気でも貧困でもなく、サラリーマンとして在り続けることの苦しみを引き受けんとする覚悟のようなものが宿ったのではないでしょうか。あなたもまた、そうした複数のレイヤーを行き来しつつ生きていこうとする自身の在り方のようなものが見えてくるかも知れません。
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狂人か反骨者か
今週のうお座は、親や社会にどこかで設定されていた「ゴール」を、自分なりに設定し直していこうとするような星回り。
かつて中世ドイツでは、現在で言う精神疾患にかかっている病人だけでなく、ろくに働こうとしない怠け者もまた「狂人」として都市の城郭の外へと放り出し、都市の内部で生活する“普通”の人々と隔離しました。日本社会では働きたくない若者が増えている訳ですが、怠ける者はなぜ怠けるのでしょうか。
人は「問い」を疑問文でを与えられると、無意識にそれへの「答え」を探し求め、安心しようとする強烈な欲求がありますが、これは逆に言えば容易に欺瞞の源泉にもなり得ます。現代アメリカの哲学者ロールズがリベラリズムを主張したのは、相対主義や懐疑主義に閉じこもるためではなく、命題は否定することができ、与えられた疑問文を別の問いへと置き換えることをつねに受けつけるはずだ、ということを示すためだったはずです。
幸せとは何か、人生の目的は何か。怠け者というのは、そういった問いへの決まった答えはないのだということを無意識にでも感じ取り、感情的に判断を下さず、答えを保留し続けるだけの精神的強靭さをもった反骨者なのだと言う風にも言えるのではないでしょうか。あなたもまた、今こそ改めて決断しない強さやリセットする勇気を発揮していきたいところです。
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