F1第17戦アブダビGPの金曜日、メルセデスのトト・ウォルフ代表はFIAがリモートで行った個別インタビューに応じ、前戦サクヒールGPで起きた無線トラブルについて説明した。
「チーム内のインターコム(無線)に問題があった」
インターコムには複数のチャンネルがあり、テレビ中継でよく聞くのはレースエンジニアとドライバーだが、それ以外にもレースエンジニアとほかのエンジニアたち、あるいはレースエンジニアとチーフメカニック、チーフメカニックと担当メカニックなどがある。
「それぞれチャンネルが設けられているのは、会話が重ならないようにするためだが、どんな場合でも、常にドライバーからの無線が優先される仕組みになっている」
「あの時はちょうどジョージが話しかけてきていたため、エンジニアからタイヤ担当クルーへのピットインの指示が、レッドクルー(タイヤのサイドウォールに『LH』と赤い文字が刻印されていることから、ハミルトン担当のタイヤクルーをこう呼ぶ)にだけ伝わっておらず、ピットインの指示を聞いていたバルテリ側のブルークルーだけがタイヤを持ってガレージを出ていき、そこにラップリーダーだったジョージが入ってきて、バルテリのタイヤを装着させたというわけだ」
いままで、そのような事態は起きたことがあるのか?
「いや、まったくない。少なくとも私がメルセデスにやってきた2013年以降、ここまで8シーズンで、一度も経験したことはない」
しかし、2台同時ピットインというのは、場合によって行わなければならない戦略のひとつ。今後問題が再発しないように、何か対策は講じたのか?
「もちろん、対策は行った。ただし、それはここで教えることはできない」
果たして、アブダビGPで2台同時ピットインは行われるのか。そして、そのときメルセデスの無線システムは問題なく機能するのか。常に改善を続けるメルセデスにとって、同じ失敗を繰り返すことは許されない。