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『青天を衝け』が朝ドラ視聴者にオススメな理由とは? 2021年、“次の大河ドラマ”への期待

2020年12月12日 09:31  リアルサウンド

リアルサウンド

『青天を衝け』(絵:渡辺裕子)

 先日行われた、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のTwitter上のキャスト発表には驚かされた。


【写真】『青天を衝け』吉沢亮のメインビジュアル


 毎日1時間ごとに仰々しく三谷幸喜さんから告げられるため、気になってなかなかネットから目が離せない数日間。


 義経が菅田将暉、頼朝が大泉洋など、発表されたどのキャストも本当に豪華。来年の大河が楽しみですね、と言いたくなるけれど……みなさん、来年2021年の大河ドラマは『青天を衝け』です。


 コロナ禍によりいくつものドラマが影響を受け、中断や延期などが相次いだたいへんな1年が終わろうとしている。現在放送中の大河ドラマ『麒麟がくる』も、中断があったため最終回が来年までずれこみ、『青天を衝け』は異例の2月14日スタート。


 普段の年なら12月になればいくつも次の大河を宣伝する番組があり、そのたびにキャストが紹介されるので顔を見慣れ、もうすぐだな、と楽しみに待つ空気になるけれど、今年はそれがない年末になってしまった。どんな俳優さんたちが出るのか、どんな物語なのか、ぼんやりとしかわかってない人の方が多いのでは。


 それにくわえて、主人公は「渋沢栄一」、次の1万円札の顔として話題にはなったけれど、明智光秀・織田信長のような超有名人ではない。


 華やかなお正月とともに新しい大河ドラマが始まるという高揚感もない。そして再来年のドラマの宣伝がうまくて気持ちがそちらに持って行かれてしまうという不運。ないないづくしの大河ドラマが、少しかわいそうになってくる。


 ここで、発表されているスタッフ欄を見て気がついた。この大河ドラマ、実は朝ドラ=連続テレビ小説が好きな人に、向いているのでは。


 脚本は大森美香さん。大河ドラマは初めての執筆だけど、連続テレビ小説では『風のハルカ』と『あさが来た』を書いている。


 制作統括は菓子浩さん。連続テレビ小説で関わった作品は数多く、『風のハルカ』のほか『ちりとてちん」『あまちゃん』『ひよっこ』など。


 もう1人の制作統括は福岡利武さん。連続テレビ小説では『カーネーション』『ごちそうさん』『ひよっこ』『あさが来た』『なつぞら』など。


 音楽は『カーネーション』を担当した佐藤直紀さん。


 これらの作品、好きな人が多いのでは。そして俳優さんたちも、朝ドラでおなじみの顔ぶれが揃っている。


 朝ドラは観るけれど大河ドラマはあまり観ていない、という人にも興味を持ってもらえる布陣ではないだろうか。


 幕末あたりから始まるのでそれなりに血は流れるけれど、この人たちが作るなら、血で血を洗うような大河ドラマではないだろう、と予想する。けれど、人があまり死なないからなまぬるい話になるだろうとは言えないのは、『あさが来た』『カーネーション』『あまちゃん』『ひよっこ』を見ていた人にはわかるはず。


 むしろ、何があっても生きていくことの厳しさ、切なさ、そして人の強さのようなものが前面に出た大河ドラマになるのではないか。2021年はそういうドラマがみんなの背中を押してくれる年になるかもしれない。


(渡辺裕子)