最近話題になっている映画といえば、あの有名なアニメ作品。次々と記録を塗り替え、飛ぶ鳥を落とす勢いで興行成績を伸ばしていますね。
今回紹介するのは、あえてその映画を除いた3作品。この冬映画館に足を運ぼうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
罪の声(2020)illustration by Sachiyo
新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、昭和最大の未解決事件の真相を追う中で、犯行グループがなぜ脅迫テープに男児の声を吹き込んだのか気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)が父の遺品の中から見つけたカセットテープには、小さいころの自分の声が録音されていた。その声は、かつて人々を恐怖のどん底に陥れた未解決事件で使用された脅迫テープと同じものだった。(シネマトゥデイより)
実際に起こった事件を元に描かれたフィクション映画。自分の幼いときの声が、実は重要犯罪に関わっていた…という衝撃的な事実が発覚するところから物語が始まります。テーラーを営む曽根は自ら事件を調べ始め、自分のように声を使われた子どもが他にもいたことが明らかに。
自分の家族、声を利用された子どもやその周りの人間、そして会合が開かれていた店などに接触していくことで、少しずつ犯行の重要人物が見えてきます。観ている側も、点と点が繋がっていくような追体験を味わえる作品です。
新聞記者の阿久津はやがて曽根にたどり着き、協力を依頼します。「事実を明らかにすることに意義がある」と話しますが、それに対し曽根は「その意義は一体なにか」と反発。それに答えを見出すことができない阿久津は、捜査や新聞の役目について疑問を持ち始めます。
いったい誰が幼き自分に、犯行文を読ませ録音したのか。そして罪の意識を負うべきは、誰なのか。鑑賞しながら、また映画館を観た後にも考えさせられる作品です。ちなみに脚本は星野源さん主演のドラマ『MIU404』『逃げるは恥だが役に立つ』と同じ、野木亜紀子さんが担当しています。
公式サイトはこちらから きみの瞳が問いかけている(2020)illustration by Sachiyo
29歳の明香里(吉高由里子)は、思いがけない事故で視力と家族を失うが、明るく過ごしていた。ある日彼女が、管理人と間違えて塁(横浜流星)という青年に話し掛けたのをきっかけに、二人は会話を重ねるようになる。キックボクサーだった塁は、ある事件が原因で心を閉ざしており、笑顔を向けてくれる明香里は大事な存在だった。やがて自分の過去が彼女の失明と関係していたことを知った彼は、高額な手術代を稼ごうと賭博試合のリングに立つことを決意する。(シネマトゥデイより)
韓国映画『ただ君だけ』をリメイクした作品。観ているこちらの胸が苦しくなってしまうほど、辛くも美しい恋愛映画です。事故で視力と家族を失いながらも明るく過ごす明香里と、過去の罪から心を閉ざしている元キックボクサーだった塁。2人がひょんなことから出会い、塁も徐々に心を開いていきます。
やがて結ばれ一緒に暮らす2人でしたが、明香里の事故に塁も関係していたことが明らかに。そして明香里の視力が回復する余地があることから、かつての裏の世界に足を踏み入れて手術代を稼ごうと、塁は彼女の前から姿を消してしまいます。
とにかく主演のお2人が美しすぎて、観ているこちらが惚れ惚れしてしまうほど…。吉高さんの目が見えない演技には驚かされますし、横浜さんのボクシングシーンはまるでスポーツ映画を観ていると錯覚するほど本格的でした。
純愛映画に弱い…という人は、ぜひハンカチを持って映画館で鑑賞してくださいね。
公式サイトはこちらから タイトル、拒絶(2019)illustration by Sachiyo
雑居ビルにあるデリヘルの事務所で、世話係としてデリヘル嬢たちから次々とぶつけられる不満や要望に対応するカノウ(伊藤沙莉)。忙しく働きながらも彼女は、その場の空気を一変させる華やかさを持つ店一番の人気デリヘル嬢マヒル(恒松祐里)と自分を比べていた。ある日、若くてモデルのようなスタイルの女性が入店してくる。それを機に、デリヘル嬢の人気の序列が変わり、店内の人間関係やそれぞれが抱える人生の背景が大きく変わっていく。(シネマトゥデイより)
数々のドラマやCMなどで引っ張りだこの、伊藤沙莉さんが主演を務める作品。衝撃的なタイトルとパンチのある予告から身構えてしまいそうですが、本編では女の子が直面している厳しい現実や、複雑な人間模様が描かれています。同じような境遇を経験していなくとも、奥底で抱える気持ちや不安にきっと共感できるはず。
元々舞台で演じられていた作品というだけあり、基本的に雑居ビルの一室の中でストーリーが展開されていきます。動きが少ないがゆえに、細かな動きや表情の変化がリアルに感じられ、緊張感が漂っているんです。
主演は伊藤さんですが、マヒルを演じる恒松祐里さんの演技も鳥肌もの。笑顔の裏に隠れている孤独が痛々しく、終盤のビルの上でのシーンは圧巻でした。
本作は鶯谷が舞台となっており、山田佳奈監督によると“音”にも注目してほしいとのこと。駅のホーム音楽、鳥の声などに耳を傾けてみると、違った楽しみ方ができるかもしれませんよ。
公式サイトはこちらから 気になる作品は見つかった?紹介した作品はどれも、観終わったあとに不思議な余韻が残るものばかり。『罪の声』は友達と、『きみの瞳が問いかけている』は恋人と、『タイトル、拒絶』はぜひお1人で鑑賞してみてくださいね。
ライター manami 新潟生まれ横浜在住のライター/フォトグラファー。旅といちごとお酒が大好きで、生粋の方向音痴ながらふらふらと旅をしています。 Twitter デザイナー Sachiyo 南米育ちの旅好きデザイナー。手書き文字やレタリング、イラストも。自由で欲張りに好きなことをして暮らしてます。 Twitter