F1第17戦アブダビGPの木曜日の会見で注目を集めたのは、前戦サクヒールGPで優勝したセルジオ・ペレス(レーシングポイント)だけではない。それはサクヒールGPで優勝から一転、ピットミスによって9位に終わったジョージ・ラッセルもメディアの注目を集めていた。
この日、ラッセルが注目を集めたのは、サクヒールGPの一件以外に、もうひとつ理由があった。
じつは木曜日の段階で、新型コロナウイルスに感染してサクヒールGPを欠場したルイス・ハミルトン(メルセデス)が最終戦に出場するかどうかが判明していなかったため、ラッセルはウイリアムズとメルセデスのどちらのチームのドライバーとして会見に出席するのか直前までわからなかった。果たして木曜日の会見でラッセルが登場したのは、10チーム中、最後の10番目だった。
しかし、木曜日の会見でメルセデスのドライバーとして出席したからといって、ラッセルが最終戦もメルセデスをドライブするとは決まっていない。
「もし、ルイスが新型コロナで陰性になって復帰したら、メルセデスを走らせるのはルイスだ。ただし、そうならない可能性もあるので、僕はその準備をしなければならず、今日もメルセデスのエンジニアとミーティングを行っている」
この会見から約3時間後に、メルセデスはバーレーンで自主隔離していたハミルトンが陰性となり、木曜日の午後にアブダビに移動したことを発表。到着したアブダビでも陰性と判定されたハミルトンは、金曜日にサーキットへの入場が許可され、アブダビGPにメルセデスから出場することとなった。
そのため、ラッセルはウイリアムズから最終戦を戦うことになる。それでも、サクヒールGPでの走りによって、メルセデスは2021年のラインアップを見直すべきという声も上がっている。
または2021年のドライバーラインアップを決定していないレッドブルが、ラッセルを起用すべきという声も聞こえている。
だが、ラッセルは「僕には2021年はウイリアムズでレースするという契約がある」と、2021年にメルセデスあるいはレッドブルへ移籍するのではないかという憶測を否定した。
「僕のマネージメントは2016年からずっとメルセデスが行っている。僕は彼らを信じているし、彼らも僕を信じて投資してくれた。だから、現状を変えるつもりはない」
果たして、金曜日のフリー走行1回目までにハミルトンとラッセルの準備は間に合うのか。慌ただしい雰囲気のなかで、最終戦の幕が上がろうとしている。