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養育費の振込に「一家全員不幸になれ」毎月、嫌がらせコメントを残す元夫が怖すぎる

2020年12月11日 11:21  弁護士ドットコム

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相手の不倫が原因で離婚した後も、元夫(妻)や不倫相手に対する怒りや悲しみが完全に消えることはないだろう。中には、元夫(妻)への恨みを晴らそうと、離婚後に復讐に走ってしまう人たちもいる。


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弁護士ドットコムにも、妻の不倫が原因で離婚した後、元妻に中傷する内容を送ってしまったという男性が相談を寄せている。



相談者と元妻の間には、1歳の子どもがいる。そのため、相談者は毎月元妻に指定された口座に養育費を振り込んでいるという。



振込の際にコメントを入力できるため、相談者は毎回「最低な女へ、(養育費)○月分です」「一家全員不幸になれ」「子どもがかわいそう」などと入力しているそうだ。しかし、このような行為に問題はないのか不安を抱えるようになった。



相談者の行為は、法的に問題はないのだろうか。浮田美穂弁護士に聞いた。



●民事上の不法行為にあたる可能性も

ーー相談者のように、養育費の振込の際にコメント欄に上記のような文言を入力することは法的に問題ないのでしょうか。



このようなコメントを目にしますと、気分が悪いのはもちろんですが、何かされるのではないかと身の危険を感じるなどして、平穏な生活が害される可能性があります。



そうしますと、このようなコメントは侮辱的言辞や呪詛的言辞による違法な嫌がらせ行為とみることができ、民事上の不法行為(民法709条)に該当し、慰謝料を支払うべき責任を問われることがあると考えられるでしょう。



●場合によっては刑事罰も…

ーー刑事上の責任を問われる可能性もありますか。



現段階で直ちに刑事上の責任が問われることはないと思いますが、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知した場合は脅迫罪(刑法222条)となります。



また、そのような害を加える旨を告知してなくても、ストーカー行為等の規制等に関する法律に規定されている「つきまとい等」に該当する可能性があります。



ーー相談者のコメントも「つきまとい等」にあたる可能性があるのですね。



「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的でおこなわれる一定の行為です。



相談者は妻の不倫が原因で元妻への恨みが消えないということですから、恋愛感情が満たされず怨恨の感情を充足する目的でおこなっていると考えられます。



「つきまとい等」の具体的な内容は、同法2条1項に規定されています。この1項4号に「著しく粗野又は乱暴な言動をすること」と定められており、相談者のコメントはこれに該当する可能性があります。



公安委員会からの禁止命令に違反してこのような行為をおこなったり、「著しく粗野又は乱暴な言動」が、身体の安全、住居などの平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により反復しておこなわれた場合は「ストーカー行為」となり、刑事罰がかせられます。



●離婚の際に慰謝料などの解決を

ーー元夫(あるいは妻)の過去の不倫を許せず、離婚後に相談者のような行為に走ってしまう人もいるようです。このようなトラブルが起きないように、離婚の際にできることはありますか。



妻の不倫が原因での離婚でしたら、妻に慰謝料の請求をすることができます。また妻の不貞相手にも請求をすることができます。



離婚の際にこれらの問題も解決しておくことが望ましいと思います。




【取材協力弁護士】
浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年度金沢弁護士会副会長。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
事務所URL:http://kenroku.net/