2020年12月09日 20:01 弁護士ドットコム
仕事を失い、ついに子どものお年玉にまで手をつけたーー。
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全国労働組合総連合(全労連)による「全国一斉コロナ労働相談ホットライン」(11月27日実施)に201件の相談が寄せられた。
ホットラインは、正規・非正規を問わず、労働者からの相談に答えるもの。12月9日、結果が報告された。
全体件数201件は、2019年秋実施の約2倍(116件)。
労働者の属性は男性6割、女性4割。年代別では50代以上(52.2%)が過半数を占めた。雇用形態は、正社員が39%、非正規が44.5%。男性非正規の相談が目立つのが特徴だ。
その中で、全体件数から「不明」なものなどをのぞいた137件のうち、コロナに起因すると思われる相談は73件だった。
コロナに関する相談を分類すると、多い順に「賃金・残業代未払い」、「解雇・雇い止め」、「労働時間・休暇」、「ハラスメント・いじめ」に集約された。
ホットラインのほか、全労連に10月~11月寄せられた相談とあわせて、事例の一部を紹介する。
・コロナ解雇
「コロナで解雇されたが、派遣の寮にいる。引っ越し代、当面の家賃などを援助してもらえる制度はないか」(50代・男性・派遣)
「会社の取引先からコロナの影響で仕事がこなくなり、役員から1月で辞めてくれと言われている」(トラック運転手)
・退職勧奨
「3月末まで週3~4日勤務で、月収が6万円。4月から週1日になり、月収が1万円に。10月23日、会社から月末で来なくてよいと言われたが、解雇ですか?と聞くと、解雇ではないと言われた。自己都合退職にしてほしいと言われたが断った」(40代・女性・パート・菓子販売)
・ハラスメント
「コロナで(夫の)仕事が減っている。配車が偏り、意見を言ったら暴言を浴びせられる」(タクシー運転手の妻)
「先輩従業員から『目障り』『イライラする』などと怒鳴られる。コロナで仕事が少なくなっており、転職は厳しい」(50代・男性・食品関係工場)
・困窮
「コロナで失業し、貯金が底をつき数日間ものを食べていない」
「コロナ前に離職。昨年11月から就活しているが、コロナの影響で仕事が見つからない。失業手当が11月中旬で終了する。それ以降生活ができない」(50代・男性)
「夫は単身赴任。私はコロナ前は月収20万だったが、8月からは仕事がない。介護保険、市民税が払えず、子どものお年玉を取り崩した10月は本当に苦しい。ご飯も満足に食べさせられず、健康保険がないので私も子どもも歯医者に行けない」(女性・派遣)
ほか、休業手当の支払いがないといった相談や、カラオケ店経営者から「収入ゼロ」などの相談もあった。
雇用調整助成金の特例措置は2月末まで延長された。しかし、全労連では、特例措置の恒常化を厚労省などに求めている。
副議長・清岡弘一さんは、今回の労働相談を受けて、自己都合退職の強要や、ハラスメントが目立つと指摘する。
「コロナで転職事情は非常に厳しいものの、使用者は労働者を解雇させずに、辞めさせる方向に追い込んでいると感じる」
企業側が、雇調金を受け取りつつ、人員整理するため、直接的に解雇・雇い止めをするのではなく、パワハラなどによって自主退職させる事例が見受けられるという。