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佐々木希さん、金子恵美さん…不倫された妻たちの「許すリスク」を考える

2020年12月08日 16:41  弁護士ドットコム

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渡部建さん、瀬戸大也さん、宮崎謙介さんーー。2020年も有名人による不倫が数多く報じられた。


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相手の浮気(不貞行為)が発覚した場合、離婚するだけでなく、離婚せずに再構築したり、とりあえずは静観したりするなど、選択肢は様々にある。冒頭にあげた3人の妻たちの現在における選択は、いずれも「再構築」だった。



女性との不倫スキャンダルが報じられ、芸能活動を自粛しているお笑いコンビ、アンジャッシュの渡部建さんは12月3日、会見で「日々、信頼を取り戻している最中」と妻・佐々木希さんとの関係を明かした。



また宮崎さんの妻、金子恵美さんは2度目となる不倫が発覚する前、前回の不倫騒動の心情を綴った『許すチカラ』を出版していた。不倫報道後の12月4日、宮崎さんはブログで「妻からも今回は厳しく叱られておりますが『今のところは』許す方向でいてくれています」と記した。



ネットのコメントでは、妻たちの「許す力」を称える声も聞かれるが、法的にはリスクはないのだろうか。男女や離婚問題に詳しい原口未緒弁護士に聞いた。



●「数年後、不貞以外で離婚する場合、慰謝料が認められないケースも」

一度は許した場合、次に不貞が発覚した際、慰謝料が認められなかったり、減額されたりするケースはあるのでしょうか。



「次の不貞行為の際には、その不貞行為に基づく慰謝料が認められます。また、その前の不貞も加味されて、複数回、度重なる不貞、ということで、慰謝料は増額される可能性が高いと思われます。



ただ、不貞行為を一度許した人が、それから数年後、他の理由をあげて離婚する場合、不貞行為が理由で婚姻関係が破綻したとは認められません。その場合、離婚や慰謝料が認められないケースもあるかと考えられます」



●「心の奥深くでは許しきれない思いや不信感」

一度不倫を許すことが夫婦間に与える問題、リスクはあるのでしょうか。



「不貞を許すことにした夫婦は珍しくありません。ただ、その後の夫婦関係に与える影響は小さなものではなく、夫婦の傷となることは確かでしょうね。



まず、法的には何年も経ってしまってからでは、離婚や慰謝料が認められない可能性があります。



また、不貞をした側は『もう許された』と思っていても、相手は心の奥深くでは、許しきれないという思いや、不信感が拭いきれないものです。それが夫婦として生活する中で、様々な亀裂となってしまったり、不貞から何年経っても、相手の不貞を長々と責め続けたりする夫婦もいます。



一度、不貞が発覚した夫婦は、その後の生活や関係性について覚悟をもって続ける必要があるかと思います」



●「つらい」「信じられない」相手にしっかり伝えよう

当事者に何かメッセージがあれば教えてください。



「不貞をされた人の中には、その時はショックもあるため、無理をしたり、言いたいことを言わずに我慢したりする人もいるでしょう。そのため後々に、不貞が婚姻関係破綻の理由や原因になったとしても、そのことを言っていなかったがために、それが裁判では認められなくなってしまう可能性があるのです。



配偶者の不貞を許した方は、ぜひ強がらず一人で抱え込まず、『つらい』『心が痛い』『一緒にいることがしんどい』『あなたのことがまだ信じられないでいる』といった、素直な心のうちを配偶者に聞いてもらうことがいいかと思います。



そこまで言わなければ、相手に傷を与えたことをわからない人もいるからです。



相手にしてみれば軽率にしてしまった不倫であっても、こんなにも相手を苦しめていたのか、このままでは一番大切な人を失ってしまうと気づくチャンスになるかもしれませんよ」




【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com