2020年12月08日 12:22 弁護士ドットコム
ゲームアプリ上で不正なアカウントを作成する方法をブログに掲載されたことで、損害を受けたなどとして、ゲーム会社「そらいろ」(東京都)がブログ主の20代男性を相手取り、1000万円の賠償をもとめた訴訟で11月27日、東京地裁で原告の請求が認諾された。
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会社が12月8日、公式ウェブサイトで発表した。
ブログ主の男性は今年6月、弁護士ドットコムニュースの取材に応じて、「ブログ掲載当時、ゲーム会社に迷惑がかかるかもしれないという意識は一切なかった」と後悔の言葉を口にしていた。軽はずみな行動が発端でも、その代償はあまりに大きい。
事件の舞台となったのは、人気ゲームアプリ「人狼ジャッジメント」だ。
男性は2018年夏、「人狼ジャッジメント」のアカウントが凍結されても、別のアカウントで再登録する不正方法をブログ上に掲載した。
この不正行為が横行する中で、そらいろ社は、監視人員の増強や迷惑行為の検知システムの開発、システムのアップデートを余儀なくされたほか、アプリの評価低下によって、利用者が減少する被害を受けたという。
会社側によると、被害総額はざっと見積もって8000万円にものぼった。
また、このブログを閲覧して、不正なアカウントを作成して、「荒らし投稿」を繰り返していた高校生が2019年12月、偽計業務妨害と私電磁的記録不正作出・同供用罪の疑いで書類送検された。
その後、発信者情報開示の仮処分によって、ブログ主が特定されたことで、そらいろ社は今年9月、男性を相手取り1000万円の損害賠償をもとめて、東京地裁に提訴していた。
会社は「利用者の皆さまが安全、安心にご利用いただくためにも、迷惑行為や不正行為をおこない、利用者さまにご迷惑を与えるであろう事案については、今後とも毅然とした対応をおこなうとともに、監視、取締りの強化に取り組んでまいります」とコメントしている。
同社代理人の中島博之弁護士は「今回、アプリゲーム会社に対して、長期に渡って複数の不正行為をおこなった場合の損害賠償責任が認められました。今後、同種事案やアプリ一般に対する不正の抑止につながることを期待します」としている。