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JO1 河野純喜、「THE FIRST TAKE」から感じた“歌”に対する情熱 「無限大(INFINITY)」の新たな輪郭見せる

2020年12月08日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

JO1『The STAR』

 アーティストたちが一発撮りのパフォーマンスを披露する、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」。これまで、LiSAやLittle Glee Monster、DISH//・北村匠海、milet、SKY-HI、TK from 凛として時雨など、実力派と呼ばれるアーティストたちが多数参加してきた。その「THE FIRST TAKE」に12月4日、JO1・河野純喜が登場。JO1のデビューシングルリード曲「無限大(INFINITY)」を披露した。TwitterのトレンドやYouTubeの急上昇にもランクイン、すでに再生回数は120万回(12月7日時点)を超えるなど、大きな反響を呼んでいる。


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 「無限大(INFINITY)」は、そもそもJO1メンバー11人で歌っている曲だ。カラオケなどで「無限大(INFINITY)」を歌ったことがある方はわかると思うが、1人で原曲通りに歌うのはほぼ不可能に近い。河野は同曲をアコースティックバージョンにアレンジして披露。息の抜き方、ビブラートのかけ方、声の張り方、アタックの付け方など、河野の歌をじっくり堪能できる仕上がりになっている。「無限大(INFINITY)」はなんとも言えない絶妙な音程を拾っている箇所もあるなど、意外にも複雑なメロディラインだ。だが、それもしっかり押さえられているだけでなく、あえて歌詞を歌わずフェイクに変えていたり、本来のメロディではない部分をなぞったり、「無限大(INFINITY)」という曲の新しい輪郭を見せてくれたのではないだろうか。


 そしてなんと言っても、柔らかさと鋭さが混在する河野のあの声質をたっぷり味わえる贅沢さがある。正直に言えば、音程が上振れたり、フラットしたり、声が掠れたりと、まだまだ荒削りな部分があることは否めない。だが、それさえも自分の味に変え、魅力的なパフォーマンスになっていたのは、あの声質に依るところが大きいのではないだろうか。それほどまでに河野の声は人を惹きつける。


 こうした歌の部分も然ることながら、個人的には彼の歌に向き合う姿勢に感銘を受けた。4分23秒のこの動画からは、河野の緊張が激しく伝わってくる。12月5日放送の『めざましどようび』(フジテレビ系)でも、「やばかったですね、ずっと震えてました」と本人がコメントしているほどだ。


 だが、約1年前まで一般人だった河野が緊張するのは、当たり前だ。去年の今頃、河野は101人を勝ち抜いてデビューを掴むための最終オーディションの真っ只中だった。その頃の彼は、歌もダンスも未経験でオーディション(『PRODUCE 101 JAPAN』)にチャレンジしており、もちろん本格的なアーティスト活動をしたこともなかった。しかし、経験がなくとも彼の歌が魅力的なことに変わりはない。だからこそ、今こうしてJO1のメインボーカルとして活躍しているのだ。デビューが決まった後、時には自身が想像するよりも早いスピードで様々なことが動いていったこともあるだろう。戸惑いもあったはずだ。それでも『PRODUCE 101 JAPAN』のクラス分け評価の際に言っていた「歌が好きな気持ちは負けない」という言葉の通り、歌に対する情熱でここまで成長してきたのではないだろうか。それが、今回の動画にも表れていたように思う。途中、ギュッと手を握る様子などから、緊張と同時に「やってやる」という気概と必死に向き合う気持ちが感じられ、それが非常に河野らしかった。


 「THE FIRST TAKE」の概要ページには、


ただ想いを込めて歌うだけじゃない。
マイクの前に立ったとき、何を感じているのか。
その曲に辿りつくまでに、いくつの壁があったのか。
これまでどんな姿勢で、音楽と向き合ってきたのか。
そんなアーティストたちの生き様が、音楽になっていく。
一人ひとりが前に踏み出そうとする時代。
音楽にできることを考えていきたい。


音楽に対する姿勢も、音楽だ。


THE FIRST TAKE


 という文が書かれている。河野はまさにこの言葉にピッタリのアーティストなのではないだろうか。歌声とともに、彼が歩んできた歴史や歌に対する思いまでじっくり噛み締めて見てほしい。(高橋梓)