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「スマホ依存」の夫にもう限界!子どもが泣いても無視、世話もせず…離婚できる?

2020年12月08日 10:21  弁護士ドットコム

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「夫がスマホ依存症で困っています。離婚することはできますか」。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。


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相談者によると、夫はもともとスマホに依存していたものの、出産後に悪化したといいます。子どもが泣いていてもスマホに夢中で無視するなど、育児をまったくしないそうです。 「スマホにはもう触らない」と何度約束しても、守られることはありませんでした。



相談者はスマホばかりの夫にストレスを感じ、離婚を考えるようになりました。夫の「スマホ依存」を理由に離婚できるのでしょうか。



峯岸孝浩弁護士の解説をお届けします。



●「スマホ依存」は「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる?

ーースマホ依存は離婚理由として認められるのでしょうか。



裁判で離婚が認められるためには、民法770条1項で定められた次の5つの「離婚原因」のいずれかに該当する必要があります。




(1)不貞行為
(2)悪意の遺棄
(3)3年以上の生死不明
(4)強度の精神病で回復の見込みがないとき
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由




スマホ依存は(1)(3)(4)は該当しないでしょう。(2)の「悪意の遺棄」とは、夫婦の同居義務や扶助義務を一方的に放棄することですが、夫は相談者と同居していますし、生活費を渡さないというわけでもないようですので、該当しないといえます。



可能性があるとすれば、(5)「その他婚姻を継続し難い重大な事由」になるでしょう。



ーー具体的にどのような事情が「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として認められるのでしょうか。



たとえば、暴力や虐待がある、性交できない、異常な性癖がある、親族と仲が悪い、浪費癖がある、性格の不一致など、さまざまな要因があります。



相談者の夫は、夫婦の会話よりもスマホが好きなようなので、該当する可能性があるとすれば「性格の不一致」でしょう。



これは夫か妻の一方が「性格が合わない」と考えれば、離婚できるということではありません。なぜなら、性格が合わないとしても、夫婦の努力により円満な関係を築ける可能性があるからです。



性格が合わないことに加えて、別の事情がないと「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められることは厳しいでしょう。



●裁判所が離婚理由として認める可能性は低い

ーー相談者のケースにおいて、裁判所が離婚を認める可能性はありますか。



夫は、不倫をしたわけでも、暴力をふるったわけでもありません。したがって、現時点での状況では、裁判所が離婚を認めてくれるほどの「性格の不一致」に該当するとまではいえず、裁判所が離婚理由として認める可能性は低いと思います。



相談者が本当に離婚したいのであれば、別居をするなど、他の事情が必要でしょう。別居に踏み切れないのであれば、夫と真剣に話し合うことにより円満な夫婦関係を築けるよう、試みた方がよいかもしれません。



(弁護士ドットコムライフ)




【取材協力弁護士】
峯岸 孝浩(みねぎし・たかひろ)弁護士
埼玉弁護士会所属。武蔵浦和法律事務所代表。市民の相談から地元企業の相談まで幅広く対応し、地域に密着した活動を続け日々奮闘中。
事務所名:武蔵浦和法律事務所
事務所URL:http://www.msu-law.com/