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「派遣社員は感染リスクがあるから契約更新できない」コロナで解雇された30代男性

2020年12月07日 13:30  キャリコネニュース

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しょせん派遣先で頑張っても報われない──。そんな、やるせない気持ちで働いている派遣社員は、今の日本にどれだけいるのだろうか。都内の50代男性(年収400万円)は「社員と同じ仕事をしてるのに、片やボーナスが出て、派遣には何にもない。やっぱり辛い」と嘆く。また同じく都内在住の20代女性(年収300万円)は、

「契約社員と正社員はテレワーク可能で、派遣社員は在宅勤務禁止となった。派遣先は面談時に『在宅勤務可能で対応している派遣さんもいるからね』と言っていたのに……」

といった声を寄せている。広島県の30代男性(年収250万円)は、新型コロナウイルスの影響で不当な派遣切りにあった一人だ。(文:鹿賀大資)

コロナを理由に不当解雇「私物の引き取りや挨拶も許されませんでした」

男性は現在、無職の身だ。原因は、以前の派遣先で理不尽なトラブルに巻き込まれてしまったことにある。その派遣先は新型コロナを口実に、立場の弱い派遣社員の足元に付け込んで迫ったという。

「終業時間の間際に、いきなり派遣先から『派遣社員は感染リスクがある。コロナ感染者やリスク者を社内に入れることはできない。よって派遣社員と契約更新はできない』との理由で一斉解雇になりました。翌日から出勤もできず、私物の引き取りや挨拶も許されませんでした」

男性は派遣元の担当者に事情を説明したが、返ってきた答えは「客先なので文句は言えない」と頼りない対応だった。それでも派遣元は次なる案件を探してくれたが、紹介されたのは遠方だったという。

「派遣元は『そちらしかないので、そこに行ってください』としか言ってきません。持ち家で病気の母がいて、嫁だけを残す訳にもいかず悩んでいます。コロナ禍で再就職先も見つからないので、もうどうしたらいいか分かりません」

時差勤務、フレックス、インフルの予防接種「派遣はすべて対象外」

この男性のように、派遣元の対応に歯を噛む派遣社員は少なくない。京都府の50代女性(年収300万円)は、不満の大元である社員との待遇差について「同じチームで同じ業務にあたっていても、キャリアパスの設計や目標管理の面談などはない」と説明する。しかし女性は、そのことを派遣元に相談したところで「ムダ」だという。

「派遣会社自体も派遣社員には、そんなことを期待していない。それが見え見えなのでモチベーションもだんだんと下がっていく」

千葉県の30代女性(年収300万円以下)は、派遣先について「柔軟な働き方が選べない」という。具体的には時差出勤、フレックスタイムや研修、インフルエンザの予防接種などがあり、そのすべてにおいて「派遣は対象外」と続ける。

「毎週、社内連絡や売上についてなどを告知する全社ミーティングがあります。しかし上司は私たち派遣に向かって『派遣の人にそこまで会社の情報を渡すこともないから、出なくていいよ』と言ってきました。基本的に派遣は社員と違って、前提となる研修などがありません」

女性はその当時まだ入社したてだったため、会社のことを理解しようと考えていた時期だった。しかし上司の例の言葉で「一気に冷めました」と綴っている。

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