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全財産を「浪費家の娘」ではなく「しっかり者の孫」に残します…そんな相続できる?

2020年12月05日 08:41  弁護士ドットコム

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「浪費家の娘ではなく、しっかり者の孫に全財産を残すことはできますか」。70代の女性から弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。


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相談者には離婚した独身の娘(40代)と孫娘がいます。娘は金遣いが荒く、持っているお金は全て使い果たしてしまう浪費家。一方で、そんな母親を反面教師としてくれたのか、孫娘はまだ若いのに非常にしっかり者です。



そのため、相談者は全財産を娘ではなく、孫娘に残したいと考えています。遺言を作成すれば、このようなことは可能なのでしょうか。平野由梨弁護士の解説をお届けします。



●遺言で定めても、遺留分を主張される可能性がある

ーー遺言を作成すれば、全財産を娘ではなく、孫娘に残すことは可能なのでしょうか。



民法で定められた相続のルールからすると、娘さんが唯一の法定相続人として、相談者の全財産を相続することになります。ただし、「全財産を孫娘に相続させる」という内容の遺言を作成すれば、娘に相続させず、孫娘にだけ財産を相続させることが可能です。



ただ、注意すべきなのは、この場合、娘からは遺留分を主張される可能性があるということです。遺留分は、遺言によっても奪えない権利で、娘はその権利を主張すれば、全遺産の半額を請求することが可能です。



娘に遺留分がある場合、相続の開始、すなわち、被相続人が亡くなった事実を知り、さらに、自分の遺留分が侵害されていることを知った時から1年間の間、遺留分を請求することができます。



●娘の浪費が心配ならば「信託制度」を利用するという手も

ーー相談者は娘の浪費を心配しています。相続をめぐるトラブルが起きないようにするために、できることはありますでしょうか。



遺言書の内容を工夫することが有効です。なぜ孫娘に相続させるのかを遺言書に書いたうえで、娘にもある程度の納得を得られるように財産を一部、相続させることで、紛争を避けることができる場合もあると思います。



なお、娘が一度に遺産を受け取ることで、財産を浪費してしまうことを心配されるのであれば、遺産を一度に受け取るのではなく、月々一定額を給付する「信託制度」を利用することもできます。



「信託制度」というのは、簡単にいえば、財産を信頼できる第三者に預けて、管理してもらう制度です。委託者、受託者、受益者という3者が登場します。



今回のケースでいえば、相談者(委託者)が、信託業務を行う信託銀行(受託者)にお願いして、死後、月々一定額を娘(受益者)の口座に振り込むように遺言で残しておくといったことが考えられるでしょう。



こうした制度を利用することも検討してみてはどうでしょうか。



(弁護士ドットコムライフ)




【取材協力弁護士】
平野 由梨(ひらの・ゆり)弁護士
藍法律事務所所長弁護士。愛知県弁護士会高齢者・障害者総合支援センター運営委員会副委員長。
事務所名:藍法律事務所
事務所URL:http://www.ai-law.jp