東京都の人口が11月まで4か月連続で減少している。都が11月下旬に発表した人口(推計)の概要で分かった。2020年11月1日時点の東京都の人口は1396万3751人。前月から全体の0.05%にあたる7358人減少していた。
近年は"東京一極集中"が続いており、5月には初めて1400万人を突破。だが、8月以降は4か月連続で減少している。都人口統計課は、キャリコネニュースの取材に対して「例年にない減少傾向と言える」と答えた。
東京から人が出ていく一方で、周囲の県は転入超過
地域別の内訳は、区部が965万9769人、市部が422万3439人、郡部が5万5944人、島部が2万4599人。増減をみると、市部では485人(0.01%増)では微増しているものの、区部で7741人(0.08%減)、郡部で74人(0.13%減)、島部で28人(0.11%減)といずれも減少している。
同課は、都内で人口減少が起きている要因について「具体的には分からない」としながらも、他の都道府県への人口流出と外国人の動きをポイントに挙げる。
総務省統計局の住民基本台帳によると、10月に都内に転入してきた人数は2万8193人で、都内からの転出は3万908人。転入超過数は2715人マイナスになっている。前年同期は2657人プラスで、統計からもこれまで人口集中が続いていた都内から他県に人口が流出している現状がうかがえる。
他方、周辺の県をみると、神奈川県の1241人プラス(前年1359人プラス)、埼玉県の1719人プラス(同1634人プラス)では前年から大きな変化がみられないものの、千葉県の873人プラス(同506人マイナス)は前年からプラスに転じる結果になった。
また、北関東でも茨城県の291人プラス(同78人マイナス)がプラスに転じていたほか、栃木県の33人マイナス(同387人マイナス)、群馬県の203人プラス(同155人プラス)でも、いずれもマイナス幅を縮めたり、転入の超過幅を伸ばしたりしていた。
都内に住む外国人も減少 新宿区や板橋区で顕著
さらに、同課の担当者は、「都内在住の外国人の方も3000人以上減っています」と外国人の流出を人口減の一因に挙げる。
10月中の外国人の動きをみると、都内全体では3102人のマイナス。内訳は新宿区(241人)、板橋区(227人)、豊島区(211人)で特に多かった。国内の外国人在住者は、東日本大震災などの有事の際には母国に帰国する傾向があり、今回も同様の理由から人口減が発生したとみられる。
キャリコネニュースでは8月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、移住先として北関東の注目が高まっている様子を報じた。テレワークの広がりにより、オフィスがある都心部に住む必要性が薄まったことで、
「同じ金額の家賃を支払うなら広い家に住みたい」
「今の家に在宅勤務する環境がないので、郊外に住んでもう一部屋増やしたい」
などの希望を持つ人が増えているという。
また、内閣府が5~6月に実施したネット調査では、都内23区の6割がテレワークを経験。首都圏1都3県でも48.9%と、全国(34.6%)に比べてテレワーク実施率は高い。
さらに、地方移住への関心の変化について聞くと、テレワーク経験者の4人に1人が「地方移住への関心が高くなった」(24.6%)と答えている。回答率はテレワークを実施していない人(10.0%)の2倍以上にのぼった。
対象を若年層に限定すると、23区内に住む20代の35.4%が「地方移住への関心が高くなった」と回答。首都圏でも27.7%と関心を持っている人の割合は高かった。コロナが長引けば「東京離れ」が本格化する可能性もありそうだ。