2020年12月02日 18:02 弁護士ドットコム
日弁連は11月19日、法務大臣宛てに養育費の不払い問題に関する意見書を提出した。法務省の「養育費不払い解消に向けた検討会議」(以下「検討会議」)が9月に公表した「養育費の不払い解消に向けた当面の改善方策」等を踏まえたもの。
【関連記事:0歳児の父「本当にオレの子?」離婚を要求する妻に抱いた不信感 DNA鑑定を決意】
検討会議は12月、制度改革を含めた最終取りまとめを発表する見込みだ。日弁連は、「子どもの最善の利益に沿った養育が確保される社会を構築することは国の責務であり、養育費の不払い解消は国が主体的に関与し支援すべき問題である」との観点から、次のような提言をした。
(1)民法において、非監護親が未成熟子の養育費支払義務を負うことを明文化する(その際、扶養義務の始期及び養育費の取決めについての考慮要素も列記)
(2)婚姻費用・養育費が自動計算されるツールのための新たな算定方式を早急に策定する
(3)関係機関は原則的な婚姻費用・養育費が自動計算されるツールをウェブサイトにおいて速やかに公表する
(4)当事者間における養育費の取決め合意を債務名義化するために、各弁護士会におけるADR(裁判外紛争解決機関)と管轄の家庭裁判所が連携して、簡易迅速な調停の成立ないし調停に代わる審判を活用する運用の試行を開始する
11月25日、東京・霞が関で記者会見を開いた原田直子弁護士は、養育費が突然支払われなくなることに触れ、「子どもの生活を保障するために、国が義務者に代わって子どもを養育監護する者に緊急措置として一時的に養育費を支払う制度を設けるべき」とした。
また、養育費の不払いを保証会社がおこなう民間サービスも出てきているが、これについては「始まったばかりであり、保証会社の業務内容、広告の妥当性、保証債務の履行状況等の検証も不十分であり、現時点では保証会社の利用は推奨できない」と指摘した。
意見書は日弁連のサイト(https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2020/201118.html)にも掲載されている。