12月3~6日にイタリア北部のミラノ近郊で開催される2020年シーズンのWRC世界ラリー選手権第7戦モンツァに向けて、最高峰クラスに参戦するドライバーたちから事前コメントが発表された。
新型コロナウイルスの影響を受け、シーズンカレンダーが大きく変更されるなかで進められてきた2020年シーズンのWRCもいよいよ最終戦。ベルギーとともに追加されるも、そのベルギー戦がキャンセルされたことで第7戦として実施されることになった『ラリー・モンツァ』が今季のフィナーレイベントだ。
1978年に初開催されたラリー・モンツァはその名が示すとおり、モンツァ・サーキットが戦いの舞台となるが、今回初めてWRCの1戦として行われることでサーキットの外にもステージが設定され、ラリー3日目の5日(土)にはロンバルディア州ベルガモの北側に展開する山岳道路でもSSが行われることになった。
4日間にわたって設定されたSSの総数は16。合計距離は241.14kmで、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は513.90kmに上る。競技は基本的にターマック(舗装路)で実施されるが、サーキット内のSSには一部グラベル(未舗装路)区間も存在する。
そんなWRCモンツァで目下注目されるのはチャンピオン争いだ。第6戦イタリア終了時点でのドライバーズランキング首位は、111ポイントを有するエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)。
これをチームメイトのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が97ポイントで追いかけ、さらにヒュンダイのティエリー・ヌービル(87ポイント)と、オット・タナク(83ポイント)がランキング3、4番手からの逆転戴冠を狙っている。
一方マニュファクチャラー選手権では、前戦ワン・ツー・フィニッシュを決めたヒュンダイがトヨタを逆転し、7点差で首位に浮上。こちらは僅差なだけにドライバーズ選手権以上に予想が困難といえるだろう。
■Mスポーツ・フォードWRT
●テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)
「ラリー・モンツァをとても楽しみにしているよ。僕は2018年にモンツァにいて、多くの素晴らしい思い出があるんだ。WRカーで経験した、最高の思い出のひとつであることは間違いないね」
「今年はフォーマットが少々異なっていて、1日は山の中を走る。でもWRカーでサーキットで走らせるのも面白いと思うよ。パワーと空力のすべてを使って、コース上でマシンをドライブするのはすごく楽しいんだ」
「またあれを経験するのが待ちきれないよ。僕はキャリアをサーキットレースで始めたから、そのことが今年最後の好結果に挑戦する助けになることを願っている」
●エサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)
「クレイジーな年だったけれど、シーズン終了前にもうひとつのラリーがあるのはうれしいことだ」
「僕はモンツァ・ラリーショーに出たことはないが、自分のキャリアをサーキットレースで始めているから、このマシンがサーキットコースをどう走るかとても楽しみだ」
「僕たちは今年の1月のラリー・モンテカルロ以来、フィエスタWRCをターマックで走らせていないから、すぐにその感触をつかむ必要がある」
「でも、モンテでのフィエスタの感触は良かったから、ステージに向けて正しいセットアップをすれば、シーズンの終わりが本当に楽しいものになると思うよ」
●ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)
「このようなイベントには出たことがないが、マシンに戻り、あのように歴史あるレーストラックでWRカーに乗り、自分が何をできるのかを見るのをとても楽しみにしている」
「モンテでのフィエスタWRCの感触はよかったから、土曜日の山岳ステージをたのしみにしている。ペースノートがとても重要になるからサルディーニャ以来、エリオット(・エドモンドソン/コドライバー)と長い時間を過ごし、改善に努めてきたんだ」
「また、サーキットに向けて万全の準備をするためにグッドウッドで1日を過ごしてきた。モンツァでアタックできるようにスタイルを適応させる必要があるからね」
「今シーズンを終える楽しいイベントになることを期待しているし、最高の調子で1年を終えることができることを願っている」
■ヒュンダイ・シェル・モビスWRT
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・モンツァが今年の特別なイベントであることは間違いない。このような困難な状況のなかでWRCカレンダーに加わったのは良いことだよ」
「ラリーショーでモンツァを走ったことは数回あるが、今年のWRCで僕たちが走行する形式とは明らかに違うものだ」
「ここではいつも楽しい経験ができる。このシーズンファイナルはエキサイティングなイベントになるよ。競争は激しく、クルー間のギャップはスプリントレースであるかのように小さいものになるだろう。そのなかで持てる力を全て出し尽くすつもりだ」
●オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)
「モンツァはもちろん新しいイベントで、僕は一度も行ったことがない場所なんだ。いくつか映像を見たけれど、全体的に他のラリーとはコンセプトの時点でとても異なるところのようだね」
「木曜と金曜は終日サーキットをベースにしたステージで、次の日は森のなかを走るというものだから、大きな挑戦になる」
「チームとしては、マニュラクチャラーズタイトルを防衛するために、全力を尽くす必要があるね。それにドライバーズ選手権も、まだ順位が不確定な部分がある。最後のイベントだから、“オール・オア・ナッシング”ということになるだろう」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「目標は明確だ。総合優勝のために戦って、マニュラクチャラーズタイトルを狙うことだ。これは僕たちチームにとって非常に重要な使命なんだ。僕たちがリードしているのはたった7ポイントだから、緊迫した戦いになる」
「僕は過去にモンツァ・ラリーショーに出たことがあるが、このイベントは独特なものになるだろう」
「初日はサーキット内で行われる。有名なパラボリカを含む、グラベルやマッドセクションなど新旧の場所が使われる。土曜日には完全にサーキットの外でラリーが行われる。素晴らしいイベントになることは間違いないよ!」
■TOYOTA GAZOO Racing WRT
●セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
「モンツァは新たな挑戦になるだろう。ふたたびクルマに乗り込み、タイトルを争う最後の機会を得られたことをうれしく思う。家でシーズンの終わりを迎えるよりも、このように最後まで戦い抜く方がいいのは間違いない」
「過去、このイベントに出場した経験はないが、ビデオの映像を見た限り、サーキット内のステージは最初のイメージほど簡単ではないと感じた。グラベルのセクションも少しあり、草や泥の上も走行するようだが、ターマック用にセッティングされたマシンで走るのは簡単ではないだろう」
「土曜日のステージは素晴らしい山道が舞台となるが、天候次第では非常に難しいステージになるかもしれない。ターマックは開幕戦モンテカルロ以降走っていなかったので、今週のテストはできるだけ多くの経験を積むためにも非常に重要だ」
「失うものは何もないと思っているからプレッシャーは感じていないし、できる限りの準備をして最善を尽くすのみだ」
●エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
「(第6戦)サルディニア以降、我々はつねに次に出るイベントの準備に集中してきた。できるだけ多くのラリーが開催され、出場できることを常に願っていたからモンツァにはポジティブな気持ちで臨めるよ」
「良い結果を残すことが必要だと理解しているし、最大の力を発揮する準備はできている。主催者から提供されたビデオを見た限り、土曜日の山の上でのステージはとてもいい感じだ。速くて流れるようなターマックのステージがいくつかあるが、この時期に走るのはかなり難しいかもしれない」
「このクルマでのターマックでの走行経験がやや不足しているのは確かだが、モンテカルロでは良いフィーリングだったし、我々のクルマがターマックで速いことは知っている」
「難しいのは、サーキット内のステージは山間部とはまったく違う点だ。だから、良いフィーリングを見つけられるようにベストを尽くし、クルマをうまくセットップしなければならないだろう」
●カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「自分にとって、2020年は大きな学びの年だったが、ここまでのところ本当に順調だ。つねにできるだけ多くのことを学んできた。今年は完全なターマックラリーが他にないので、この路面で学ぶべきことは1番多く、モンツァは自分にとって難しいラリーになるとは思うけど、楽しみでもあるんだ」
「今週のテストは、モンテカルロ以来となるターマックでの走行だったので不思議な感覚だったけど、走る度にフィーリングは良くなっていった。1年の終わりで非常に寒かったにも関わらず、それでもタイヤのグリップレベルはとても高く、ヤリスの運転を心から楽しむことができたよ」
「(モンツァでは)グラベル路面をターマック用のタイヤで走るなど、今までに経験したことがないこともあり、自分にとっては新しいタイプのラリーになるだろう。全開でアタックし、できるだけ速く走りたいと思う」