持てる武器と武器の応酬。2020年のスーパーGTのフィナーレとなる第8戦富士でのGT300クラスの争いは、そんなレースだったと言えるかもしれない。惜しくもタイトルに届かなかったものの、全力でそのレースを制した埼玉トヨペットGB GR Supra GT、そして、そのスピードという武器をぶつけ、目標とするタイトルをたぐり寄せたリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rとも、勝者、そして王者に相応しい戦いぶりだった。
レースはポールポジションスタートの埼玉トヨペットGB GR Supra GT、そして2番手スタートのSUBARU BRZ R&D SPORTという、予選から激しいつばぜり合いをみせた2台のJAF-GT車両の争いからスタートした。ウォームアップの差でSUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝が先行するも、今回は埼玉トヨペットGB GR Supra GTの方にスピードの分があったと言える。
これに続いたのはADVICS muta MC86、K-tunes RC F GT3という2台、そしてチャンピオンの可能性があったGAINER TANAX GT-R、リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、そしてLEON PYRAMID AMGというメンバーだったが、ここから“伝家の宝刀”タイヤ無交換作戦を採った埼玉トヨペットGB GR Supra GT、LEON PYRAMID AMG、そして四本交換を行ったライバルたちという構図に分かれていった。
今回、そのリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rを上回ったのが、今季2勝目となった埼玉トヨペットGB GR Supra GTだった。「僕らドライバーが、タイヤ無交換のなかでも少しでもストレスなく走れるようにということで、スポッターという形で平沼さんが後続車の情報を教えてくれたりしました。もちろんそのほかでも、僕らの担当エンジニアさんやブリヂストンタイヤさんもついていてくれるので、本当に強い武器があってこのパッケージで戦えています。そういった人たちの気持ちに応えたいということもありました」というのは吉田広樹。