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「あんたは人間ではない」「服役でもしてたらいい」義母の暴言で吐血した婿、慰謝料請求できる?

2020年11月30日 10:11  弁護士ドットコム

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結婚後、義母との関係に苦しんでいる人は男女問わずにいる。弁護士ドットコムにも、毎日 義母に「あなたは人間ではない」などの暴言を言われ続けているという男性からの相談が寄せられている。


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相談者は過去に離婚歴があり、元妻の借金に悩まされたことがある。現在の妻と再婚し、しあわせな日々を送るはずだったが、義母の暴言に苦しむ日々が続いている。



元妻の借金の話を出されて「あんたは詐欺師、服役でもしてたら良い」と言われたり、飲み物を買えば「あんたには使うお金ないんや。何飲み物買ってるねん。アホちゃうか」、病院に行けば「何病院いってんの?弱音はくな!」などと言われたりするという。



このような日々が続き、相談者は吐血や血尿に悩まされるようになった。妻とは良好な関係を続けているが、精神的に疲弊し、限界を感じている。



義母に慰謝料請求することはできるのだろうか。木下貴子弁護士に聞いた。



●「不法行為」と認められれば、可能性はある

ーー義母に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。



私が扱ったケースでも、義理の母の不法行為を理由に慰謝料請求を認めた判決がありましたので、可能性はあります。



また、直接の話し合いは難しいケースでも親族関係調整調停などの手続きを使うことで対応が変わることもあるでしょう。



しかし、残念ながら、調停の申し立ては、それだけで法的な効果が発生するものではありません。そのため、相手方がどれほど誠実に対応する姿勢のある方かどうかによって効果は違います。



また、現時点では離婚を希望していないということですので、妻の母に対して慰謝料を請求することで夫婦関係まで悪化してしまわないかについても、よく検討した上で請求するのかを決めることも大切でしょう。



●義母の暴言を理由に離婚できる?

ーー相談者は現時点では妻との離婚を考えていませんが、中には義母による暴言が原因で離婚を考える人もいます。このような場合、離婚は認められるのでしょうか。



姑との不仲だけを理由に離婚は認められませんが、不仲が原因となり「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」(民法770条1項5号)と言える場合に裁判では離婚が認められます。



たとえば、何度も妻に注意してほしいと言ったにも関わらず、「姑」との関係悪化に対して妻が何も対応しなかったため、夫婦関係を破綻させた、と言えるのであれば、離婚が認められることもあるでしょう。




【取材協力弁護士】
木下 貴子(きのした・たかこ)弁護士
離婚・親権・養育費の分野で1000件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに1万9000人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」「離婚回避・夫婦関係修復につなげる話し方の技術」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。
事務所名:多治見ききょう法律事務所
事務所URL:https://tajimi-law.com