コロナ禍で17戦で争われている2020年も、いよいよ残るは中東の3連戦だけとなった。すでにコンストラクターズ選手権は2戦前の第13戦エミリア・ロマーニャGPでメルセデスが制し、ドライバーズ選手権は前戦トルコGPでルイス・ハミルトン(メルセデス)がチャンピオンを獲得しているが、2021年へ向けた生き残りの戦いは、まだ完全には終わっていない。
バーレーンGPの木曜日の会見では、2021年のシートが決まっていないセルジオ・ペレス(レーシングポイント)が、状況によっては来シーズン、F1にいなくなる可能性もあることを認めた。
まずレーシングポイントを離脱することが決まっているペレスはこう語った。
「選択肢はひとつしかない」
それがレッドブル・ホンダ移籍であることは、次のようなコメントからもわかる。
「僕はここ(F1)で何年もレースをし、走りはいまキャリアのなかでピークにあると思っているからね。だから、しっかりとした計画を立て、自分に適したプロジェクトの下でレースがしたい。100%モチベーションを保てるプロジェクトでなければ、引退したほうがいいと思っている」
現在、2021年のシートを発表していないのは、メルセデス(1席)、レッドブル・ホンダ(1席)、アルファタウリ(1席)、レーシングポイント(1席)、ハース(2席)の6シートあるが、このうちメルセデスとレーシングポイントはルイス・ハミルトンとランス・ストロールでほぼ確定しており、アルファタウリも角田裕毅が有力で、ハースはフェラーリ育成ドライバーら若手が加入することが確定している。
つまり、表彰台経験者のペレスにとって「100%モチベーションを維持できるプロジェクト」は、残っているシートのなかではレッドブル・ホンダしかない。
しかし、そのレッドブル・ホンダのシートは、アレクサンダー・アルボンの残留が濃厚となっており、仮にアルボンが残留できない場合は、今年レーシングポイントから3戦出場したニコ・ヒュルケンベルグが加入する可能性が高い。それは、記者からのこんな質問をペレスが否定しなかったことでもわかる。
「あなたは、自分よりもヒュルケンベルグやアルボンを優先しようというレッドブルの判断は間違っていると思いますか?」
ペレスは苦笑いして、こう答えた。
「それを僕に聞くのはお門違いだね」
レースのない人生も考えているのか、と司会者に尋ねられたペレスはこう言った。
「本当にやりたいことは何なのかを考える時間が1年ある。プランAはF1を続けることで、プランBは1年間の休暇。F1を続けられなかったからといって、他のカテゴリーでレースすることはいまは考えていない」
「今までレースを優先した人生を送ってきたけど、今は家族がいるし、子供の成長も見守りたい。本当にやりたいことは何なのか。F1が恋しいのか。F1以外のレースをしたいのか。それとも、モータースポーツを離れて違う道を歩きだすのか。F1のシートを得られなかったら、来年はその答えを出す時間にあてたい」