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WRC:トヨタ、最終戦モンツァでの全タイトル獲得へ全力注ぐ「最後までプッシュ」とマキネン

2020年11月27日 19:11  AUTOSPORT web

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ドライバーズランキング首位に立つエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは12月3~6日、イタリアで行われる第7戦『ラリー・モンツァ』に臨み、2020年シーズンの最終戦となる同ラウンドでドライバー、コドライバー、マニュファクチャラーの3タイトル総取りを狙う。

 新型コロナウイルスのパンデミックが世界各地に広がったことから第3戦メキシコ以降、その影響を大きく受けた2020年のWRC。日本を含む多数の予定ラウンドが延期や中止に追い込まれるなか、シリーズはここまで6戦を実施し12月上旬のモンツァでフィナーレを迎える。
 
 そのラリー・モンツァは1978年に初開催された歴史あるラリーイベントで、F1などでお馴染みのモンツァ・サーキットが戦いの舞台となる。WRCのラウンドとしては今季が初開催となり、それにともないロードコースやサービスロード、バンクがついたオーバルコースに加えてサーキット外、ロンバルディア州ベルガモの北側に展開する山岳道路にもステージが設定された。
 
 ターマック(舗装路)で争われるラリーは3日(木)にサーキット内のショートステージ(SS1)で開幕。翌4日(金)は同じくサーキット内で5本のSSが行われるが、この中には一部グラベル(未舗装路)となる区間もある。
 
 5日(土)は前述の山岳ステージに舞台を移し3本のSSを計2回ずつ走行し、1日の最後にサーキットでもう1本のSSを走行する予定だ。この3日目の走行距離は126.95kmとなり、ラリー全体の半分以上を占める。
 
 最終日の6日(日)はふたたびサーキットでの戦いとなり3本のSS、計40.25kmで争われる。最終SS16は“パワーステージ”に設定され、SS上位フィニッシュドライバーにボーナスポイントが与えられる。4日間のSS合計距離は241.14km、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は513.90kmだ。

 そんなラリー・モンツァに挑むトヨタ陣営では現在、エバンスが111ポイントでドライバーズランキング首位に立ち、これを14ポイント差でオジエが追う展開に。両者ともにライバルであるヒュンダイのティエリー・ヌービル(87点)、オット・タナク(83点)をリードしており、ふたりのどちらかが栄冠を手にする可能性が高いとみられる。
 
 対してマニュファクチャラー選手権では、208対201でライバルの後塵を拝している状況にあり、トヨタは最終戦でのポイント逆転、それによる王座防衛に全力を尽くす。

■「プレッシャーはない。最善を尽くすのみ」とランキング2番手のオジエ

「今シーズンの締めくくりとして、できればあと1戦ラリーをやりたいと誰もが思っていたと思う。この大事な1戦はファンの皆さま、関係者の皆さまのご支援により実現した。チーム一同感謝申し上げます」と謝辞を述べるのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのトミ・マキネン代表。

「今回のラリーは、通常のWRCイベントとは少し違ったかたちでの戦いになる。山間部のステージは、全選手にとって初めての経験となるので特に難しいはずだ」

「我々のドライバーはこのクルマでのターマックラリーの経験があまり多くないが、今週のイベント直前テストも含め、できる限りの準備を進めてきた」

 選手権を争うエバンスとオジエについて、マキネンは両選手を全面的に支援すると語った。

「エルフィン(・エバンス)と、セブ(セバスチャン・オジエ)のどちらかがドライバーズタイトルを獲得することができそうなので、我々としては彼らを全面的にサポートする」

「マニュファクチャラーズタイトルについても、まだ獲得できる可能性があるため、ベストな結果を目指し最後までプッシュしなくてはならない」

 ランキング首位でモンツァに入るエバンスは、「良い結果を残すことが必要だと理解している。また、最大の力を発揮する準備はできている」と気合充分。

 トヨタと単年契約を結び2021年シーズンも引き続きWRCに参戦することを発表したオジエは、「家でシーズンの終わりを迎えるよりも、このように最後まで戦い抜く方がいいのは間違いない」とラリー・モンツァの開催を喜ぶ。

 また、6度のチャンピオン経験者は「プレッシャーは感じていないし、できる限りの準備をして最善を尽くすのみだ」と付け加えた。