2018年の世帯年収の中央値は437万円(厚労省/2019年国民生活基礎調査)。となると平均を下回る、世帯年収300万円台はどのような暮らしぶりなのだろうか。結婚の有無、家族および子どもの人数などを踏まえた上で、同世帯年収帯の30代後半の実情を見てみよう。
岐阜県の既婚男性は世帯300万円で、2人の子どもを養っている。親と同居であるためそれほど生活費はかからないが、「でも子どもたちにかけてあげられるお金は、もう少し欲しい」と寄せている。(文:鹿賀大資)【写真はイメージ】
「会社が制服を廃止し私服になり、ユニクロのセールでまとめ買いしました」
福岡県の独身女性は年収350万円。流通・小売系の会社で働いている。現況について「キャッシュレス決済が増えつつある」といい、「ほぼカード払い」という。そんなクレジットカードの利用で、彼女を悩ませているのが衣類の購入だ。
「見栄を張るために、といっても百貨店レベルですが、ブランド服を購入。リボ+ボーナス払いを併用しています。そのため毎月の給与もボーナスも残りません。あと会社が制服を廃止し私服になり、ユニクロのセールでまとめ買いしました」
会社へは一時ユニクロ服を着ていくことが続いた。ところがある日、偶然にも20代の女性社員と丸かぶりしてしまった。その20代女性は「この職場ではアラフォーになっても安物しか着れない」と落ち込んでいた様子だった。値段の割に品質が高く、最近はデザインにも注力しているユニクロ。それなりに年収があっても全身ユニクロでOKとする社会人も多いが、先輩には高いものを着ていてもらったほうが希望が持てる、ということなのだろうか。
青森県の既婚男性はメーカー系勤務。世帯年収360万円で2人の子どもを養っているが「生活はきつい。自分のお小遣いすらない」という。特に冬場は光熱費が高くなることから「毎月赤字」と続ける。
「車もかなりボロになってきたので、そろそろファミリーカーに買い替えたい。でもそんな余裕もないし、銀行から借りたところで返していける感じでもない。転職も考えたりするが、うちは地方でも田舎寄り。結局どこで働いても、大して年収に差が出る感じでもない」
「惣菜コーナーの見切り品を買って済ませることが多いです」
「保育士は給料が安すぎます。ちなみに正職員です」と語るのは、秋田県のシングルマザー。年収300万円で2人の子どもを養う。女性は「日中は大半が、保育で時間を取られています」という。
「そのため書類業務は勤務時間外でやってます。それでも終わらないので、休みの日に家でやらなければならず、気が休まりません。職場では目一杯動き回り、帰宅すれば子どもの世話をする毎日です。倒れるように寝ての繰り返しで、残務を進めるには子どもを放置するか、睡眠時間を削るほかありません」
帰宅後は料理をする余力も残っていないため「惣菜コーナーの見切り品を買って済ませることが多いです。本当は食費も節約したいのに」とコメントしている。
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