政府の観光支援事業「Go To トラベル」から札幌、大阪両市が一時的に除外される。期間は12月15日までの3週間。両市で新型コロナウイルスの感染が再拡大しているのを受け、政府は苦渋の決断を迫られた格好だ。
キャンペーンを適用して"お得な旅行"を計画していた人にとっては、まさに悲喜交々だろう。ツイッターでは「あ~ぁ。28日からの北海道旅行、飛行機キャンセルしました」と嘆く声もみられた。
これからスキー、スノーボードといったレジャー最盛期を迎える札幌も含まれており、泣く泣くキャンセルを決断した人も多いのではないだろうか。
キャンセル料について問い合わせ相次ぐ
他方、度重なる政府の方針転換に振り回されているのは旅行代理店も同様だ。
ツアー商品などを販売している都内の旅行代理店「トラベル・スタンダード・ジャパン」には、11月24日に札幌、大阪を除外する政府の方針が報じられると、客から問い合わせが相次いだ。質問の内容は、主にキャンセル料についてだったという。
企画担当の吉澤誠一さんは、
「弊社としてもニュースで報じられている情報しかない中で、問い合わせに対応していました。結局、(Go To キャンペーンの)事務局から正式に発信があったのは25日の午前中でした」
と政府の対応に憤る。25日正午時点でまだそれほどキャンセルは発生していないが、「現在受けている予約のうち北海道が占める割合は大きいので、予約が止まるのは大きな打撃になります」と困惑していた。
「私たちは振り回されている状況です」
また、度重なる政府の方針転換については、
「元々キャンペーンが始まる時から勢いというか、何も決まっていないままスタートして、後手後手に進んだ結果、私たちは振り回されている状況です」
と苛立ちを隠さない。
「10月から都民が対象に加わり、地域共通クーポンも始まって落ち着くかと思ったら、11月にはまた『ビジネスを目的とした旅行は対象外』などのルール変更。そして、新型コロナの再拡大でした」
「感染状況によってアクセルとブレーキを使い分けるのは仕方ない」としつつも、「"もし、こうなった時"の対応を政府がまったく考えていないことが後手後手に回る理由ではないでしょうか」と指摘する。
「消費者にしてみれば『安く行ける』と思ったから予約したのに、急にキャンセルさせられる」と旅行を計画していた人の気持ちを代弁した上で、
「キャンセル料の補填だって税金が使われているわけで、無駄遣いです。(旅行代理店は)忙しくなるだけで、結局売上にはならない」
とウンザリした様子で語っていた。