2020年11月24日 16:11 弁護士ドットコム
加藤紗里さんが11月23日、自身のインスタグラムでパンケーキを叩き潰す動画を公開し、「どうしたんですか?」「やらせですか!?」と驚く声が相次いでいます。
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動画では店員さんがパンケーキを運んできた瞬間、「これじゃない!」と言いながら左手でパンケーキを叩き潰す加藤さんが映っています。上からこぶしを振り下ろした衝撃で、クリームは机や椅子に飛び散りました。
加藤さんは投稿で「わがまますぎてなにが悪い‼️w紗里が食べたいパンケーキはこれぢゃない!www」とコメントしていますが、フォロワーからは「ネタでも食べ物を粗末にしちゃダメ」と否定的な意見が多く寄せられています。
せっかく作った商品を目の前でぐちゃぐちゃにされては、店側もたまったものではないが、法的には問題ないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
——お店で注文した食べ物をその場でダメにしてしまう行為に法的責任は発生するのでしょうか。
当然ですが、このような行いがよくないということで間違いありませんので真似をしないでください。法的な問題についてコメントさせていただきます。
まず、刑法上の犯罪が成立するのかというところです。机や椅子を汚した点について、刑法261条の器物損壊罪が成立する可能性がありますね。
また、店の営業を妨害しているという意味で、刑法234条の威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
ここでいう「威力」とは「人の意思を制圧するに足りる勢力を用いること」をいいますが、「これじゃない!」と言いながらパンケーキを手で叩き潰すという行為は、周囲のお客さんを相当程度驚かせるようなものですから、「威力」にあたるといえます。
そして、店の営業を妨害する可能性がありますので、この犯罪が成立してもおかしくありません。もっとも、店側が被害届を出さないと事件にはしにくいかもしれません。
——民事責任はどうでしょうか。
自分の頼んだケーキを散乱させただけなので、責任が生じないようにも思えます。
しかし、ケーキが飛び散って掃除をしないといけないことになりますし、他のお客さんが嫌がる可能性もあります。その意味で金額としては大きくはなりませんが、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求をされる可能性もあります。
いずれにせよ、店側が大げさにしなければお咎めはなさそうですが、悪ふざけで人を不愉快にさせるような行動をすることはよくありませんね。私もYouTubeやインスタグラムをやっていますが、他人を不愉快にさせないよう気をつけます。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士Youtuberとしても活動を開始している。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/