2020年11月22日 10:11 弁護士ドットコム
「不倫相手の妻に訴えられました。裁判をしていることを周りに知られてしまわないか不安です」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。
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相談者は不倫相手の妻に慰謝料請求された。妻側とはこれまで和解に向けて話し合いをしてきたが、金額や条件面で折り合わず、このままだと通常の裁判に進むことになるという。
相談者は誰にも不倫裁判のことを知られたくないと思っている。しかし、民事裁判の場合、口頭弁論や判決の手続が公開されているため、誰かに見られる可能性はある。
知り合いに裁判のことを知られてしまう可能性はあるのだろうか。西山良紀弁護士に聞いた。
ーーそもそも、なぜ民事裁判は一般に公開されているのでしょうか。
憲法82条1項は「裁判の対審及び判決は、公開法定で行ふ」と規定しています。そのため、民事裁判の口頭弁論手続きや判決は、原則として公開され、自由に傍聴できるようになっています。
憲法がこのような規定を設けたのは、裁判を一般に公開することにより、裁判が公正におこなわれているかを国民の監視下におくことで裁判の公正さを確保するため、裁判に対する国民の信頼を確保するためといわれています。
ーー裁判が非公開になることはないのでしょうか。
憲法82条2項には「裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる」と規定されており、例外的に裁判が非公開になることはあります。
しかし、今回のケースのように「誰にも不倫裁判のことを知られたくない」という理由で裁判が非公開になることはないと思います。
ーー相談者は、裁判所のホームページや掲示板に氏名が掲示されたり、傍聴人が多くなったりするのではないかと不安を抱えているようです。
裁判所のホームページには、民事裁判の当事者の氏名が記載された開廷表は公開されていないようです。
裁判の当日は法廷の入口付近に当事者の氏名が記載された開廷表が掲示され、裁判所の玄関付近にも当事者の氏名が記載された開廷表をまとめたファイルが置かれていることが一般的です。しかし、私の経験上、開廷表から裁判をしていることが知人にバレてしまったということはありません。
弁護士に事件を依頼している場合、相談者が傍聴人の前に姿を出すのは、当事者尋問のときだけになることが多いでしょう。
傍聴人の人数は、裁判所が所在する都市の規模によっても異なると思いますが、私がこれまで神戸地裁で民事事件の当事者尋問をしたときは、ほとんど傍聴人がいませんでした。
もし、すでに依頼している弁護士がいるのであれば、経験上、傍聴人がどれくらいになりそうか尋ねてみてはいかがでしょうか。
【取材協力弁護士】
西山 良紀(にしやま・よしのり)弁護士
兵庫県弁護士会所属。
離婚・男女問題、遺産相続、労働問題、債権回収などを多く扱う。
昼食の大半はラーメン。鶏がら・豚骨から出汁をとってラーメンを自作することもある。独立する際に、前所属事務所からもらった餞別は寸胴鍋とオリジナルラーメン鉢。
事務所名:リライト神戸法律事務所
事務所URL:http://relight-kobe.jp/