TOYOTA GAZOO Racing WRTから2020年シーズンのWRC世界ラリー選手権に参戦しているセバスチャン・オジエは11月20日、トヨタと新たに1年契約を結び、2021年1月から始まる新シーズンを同チームとともに戦っていくと発表した。
かねてよりその可能性が報じられてきた元6連覇王者のトヨタ残留が現実のもとのとなった。
12月3~6日にイタリア・モンツァで行われるWRC第7戦で自身7度目のタイトル獲得に挑むフランス人は、シトロエンからトヨタに移籍した今シーズンの開幕当初、2020年限りでWRCから引退することを明らかにしていた。
しかし、2020年のラリーシーズンは他のスポーツイベントやモータースポーツカテゴリーと同様に新型コロナウイルスの影響を受け、年間のスケジュールは通常よりも短いものとなってしまった。
このことがオジエが描いていた引退プランの再考を促すことになり、結果的にレジェンドドライバーのキャリアを伸ばすことに繋がったという。
トヨタとの間に1年契約を結び、2021年までWRC参戦を継続することを明らかにしたオジエは、「短いシーズンではあったが、このチームと一緒に仕事をし、ヤリスWRCをドライブするのが楽しいと感じるには充分だった」と述べた。
「(再契約は)当初の計画にはなかった。しかし、今年は地球上の誰にとっても特別な年だったと思うし、僕自身もほとんどの人と同じように多くの時間を家で過ごさなければならなかった」
「当然、僕が期待していた(通常の)シーズンとはかけ離れている。そんな奇妙なシーズンで自身のキャリアを終えることが素晴らしいとは言い難かった」
「それが引退について、自分の考えを改める理由のひとつになっていったんだ」
「いま僕が考えているプランは2021年もプッシュを続け、うまくいけばもっと良い“普通のシーズン”を過ごし、最後のタイトルを目指して努力していくというものだよ」
今シーズン、トヨタに加わったオジエは、日本メーカーのチームでの初陣を総合2位で飾り、第3戦メキシコでは早くも優勝を記録。第6戦終了時点でチームメイトのエルフィン・エバンスと14ポイント差のランキング2番手につけており、タイトル獲得の権利をもって12月上旬の最終戦モンツァに向かうことになる。
「ラリー(最終戦)での優勝や、チャンピオンシップの勝利を手にする可能性は間違いなくある。ラリードライバーが求めているのはそれだけだ」とオジエ。
「その材料はすべてあると信じているので、あとはやるだけだ。同時に次のシーズンがすでに楽しみだよ」
今回のオジエ残留決定の発表は、エバンスとカッレ・ロバンペラの契約がもう1年残っていることから、TOYOTA GAZOO Racing WRTの2021年ドライバーラインアップが確定したことを意味する。また同時に、日本人WRCレギュラードライバーを目指す勝田貴元の昇格が持ち越されたことも意味している。