非営利シンクタンクの言論NPOは11月17日、日中共同世論調査の結果を発表した。調査は9~10月に実施し、日中両国の18歳以上の男女2571人から回答を得た。
相手国に対する印象を聞いたところ、中国に対して「良くない」(89.7%)という印象を持つ日本人は9割に迫った。前年比5ポイント増。一方、中国に対して「良い」(10.0%)という印象を持つ人も前年から5ポイント減少している。
中国人が日本に良くない印象を持つ理由「歴史を反省していない」
中国に対して良くない印象を持つ人に理由を聞くと、
「尖閣諸島周辺の侵犯」(57.4%)
「中国が南シナ海などでとっている行動」(47.3%)
といった最近の中国の行動を挙げる声のほか、「共産党の一党支配という政治体制に違和感」(47.0%)といった政治体制に関する理由が上位を占め、それぞれ前年の回答率を上回った。
一方、中国人のうち、日本に対して「良くない」(52.9%)という印象を持っている人は半数程度。理由として寄せられたのは
「侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから」(74.1%)
という声が突出して多く、次いで「日本が魚釣島および周辺諸国を『国有化』し、対立を引き起こしたから」(53.3%)という回答が続いた。
一方、日本に対して「良い」(45.2%)という印象を持っている中国人も多い。理由は「日本人は礼儀があり、マナーを重んじ、民度が高いから」(56.8%)が突出して多く、回答率は前年から12.2ポイント増えていた。
ここ一年の日中関係、中国人の2割が「良くなった」と回答
次に、現在の日中関係について聞くと、日本人の過半数が「悪い」(54.1%)と答えた。前年から9.3ポイント増。一方、中国人では「どちらとも言えない」という声が半数を超え、「悪い」(22.6%)と感じている人は前年から13ポイント減った。日中関係については、両国で異なる認識を持っていることが分かる。
直近一年間の日中関係について、日本人は「特に変化していない」(41.7%)が最多だったが、「悪くなった」(39.7%)という人も前年から8ポイント増えている。
中国人でも「特に変化していない」(57.9%)と考えている人が最多で、前年から10ポイント増。一方で「良くなった」(20.6%)とした人も2割存在しており、やはり日本人との間に認識の相違があった。
今後の日中関係の見通しについては、日本人では「変わらない」(41.7%)との見方は最多で、次いで「悪くなっていく」(28.7%)と見る人も多い。一方、中国人では「良くなっていく」(38.2%)という見方をする人が多く、「悪くなっていく」(9.6%)とした人は前年から半減して1割に満たなかった。
また、今後の日中関係の発展を妨げるものを聞くと、両国ともに最多は「領土をめぐる対立」(日:60.4%、中:55.2%)だった。日本人では、次いで
「日中両国政府の間に政治的信頼関係がないこと」(39.3%)
「両国民間に信頼関係ができていない」(32.0%)
などが上位に続いた。
中国人では、次いで「米中対立の行方」(27.8%)が多く、前年の10.0%から大幅に増加した。このほかに「両国民間に信頼関係ができていない」「経済摩擦」(各20.0%)などが挙げられた。