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育児アドバイザーに聞く、みんなの子育て相談室 第54回 家事も子育てもしない夫をやる気にさせるには?

2020年11月18日 15:02  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

お母さんからのご相談で最近多いのは、子育てや家事など何もしない夫に関しての悩みです。コロナで一緒に過ごす時間が以前よりも増えて、夫も家にいるのにどうして何もしてくれないのかという思いが増しているようです。

今回は「夫に家事を何度も手伝ってくれるように言っているのに、その時だけやって、いつまでたっても自分からやるようになりません。どうしたらいいのでしょうか」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。
○自分からやりたくなることが大切

あの手この手でやらせても夫が進んでやるようにならない……という経験は多くの方があるのではないでしょうか。これは「子どもに宿題をするように何度も言っているのにやれるようにならない……」といった、子育ての悩みと同じですね。子どもはわかるけど、夫は大人なのになぜ? とだんだん腹立たしく思えてくる気持ち、わかります。しかし残念ながら、言ってもやれるようにならないのは、自分も同じです。

例えば、「英会話をできるようになりなさい! 毎日、勉強したほうがいいよ」と言われ、「確かにコロナが収まったら海外旅行も行きたいし、東京オリンピックで海外の人も増えるし、話せたらいいよなあ」と思ったとします。

言われた時はするかもしれませんが、必要に迫られてもいないのに、自分から毎日やるでしょうか。他にすべきことがいっぱいあるからと、きっとやらなくなってしまうでしょう。

しかし、実際に話せて楽しかった思いや、逆に困ったりして必要に迫られる状況にあれば、自分の目標ができるかもしれません。人に言われて仕方なくやるのではなく、自分でやりたくなればこっちのものです。

そしてこれは、自分だけでなく子どもや夫も同じです。つまり、指示やおだててやらせるのはやめましょう。では、どうしたら自分からやるようになるのでしょうか。
○自分がやらねば! と思わせる状況を作る

家事や子育てを積極的にやっているパパたちに共通しているのは、「妻がやらないから(家事が苦手だから)、自分がやらないと大変なことになると思って頑張った」という点です。そして、やってみたら奥が深くて面白くなったそうです。

パパたちは、自分の妻は家事が苦手だと思っているようですが(わたしはママの策略ではないかと思っていますが)、それで結果うまくいくのであればいいのではないかと思います。

つまり、まじめな妻ほど夫にやらせるより自分がやったほうが早いと頑張ってしまい、結果イライラして疲れてしまうようです。自分が元気なうちはいいのですが、一生涯のことを考えると、夫にも家事や子育てができるようにママがやらないという状況を作りましょう。

そんなことをしたら家中ひどいことになるのではと思われますが、1週間くらいひどい状態をがまんするのと、一生涯嫌な思いで我慢し続けるのとどっちがいいでしょうか。

もしかしたら、やらなくてもいい家事や電化製品で代替できることなども発見できるかもしれません。夫の意外な才能やこだわりを見つけておまかせできれば、豊かな生活につながりますね。
○家事は夫婦で分担しよう

夫が自分で行うまでの会話にはコツがあります。

「あれ、洗濯物がたまっちゃったなあ」「洗ってないお皿がいっぱいで、ご飯が作れないなあ」「掃除機かけてないから、部屋にゴミがたまってるなあ」など、
指示したり怒ったりせずに、穏やかに現状を言葉にしましょう。

そして夫が「じゃあぼく掃除機かけるよ」と言ったら、「じゃあその間わたしは洗濯するね」と相手がやるなら、自分も家事をするという姿勢を見せましょう。反対に、もし夫がゴロゴロしたら、自分もゴロゴロしましょう。

夫に「昼ご飯作って」と言われたら、「お腹すいたね、お昼ご飯あなたが作って!」と言いましょう。「ぼくは作れないよ。君が作って」と言われたら、「わたしもつくれないよ。あなたが作って」と同じ言葉を繰り返しましょう(子育てのコツと同じです)。

「ご飯作るのは、君の仕事でしょ」と言われたら、「あなたの仕事でしょ」と話し合いましょう。

「ぼくは仕事してる。君は育休中(専業主婦)だよね」と言われたら、「子育ては立派な仕事で、手を抜きたくないと思って頑張っている。家事は家族全員の仕事だと思う」と伝えましょう。夫婦で仕事をしている場合も同様です。

これを繰り返して、夫婦で一緒に家事をすることの大切さが分かり合えるといいですね。

そしてなにより、夫婦が当たり前に家事をする姿を見て、子どもが育つことが大切です。「家事・子育ては女性がやるもの」という意識を打破して、家族全員で家庭を作っていくことが当たり前の未来を目指したいと思います。

天野ひかり あまのひかり ・親子コミュニケーションアドバイザー ・NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事 上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師など。 自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰。 ■著書 ・Amazon子育てランキング1位のロングセラー 「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版 ・最新刊 「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。 この著者の記事一覧はこちら(天野ひかり)