パチンコのイメージは、いつの間にか「庶民の遊技」から「後ろ暗い業界」に変わった。世間でもイカサマが横行しているのでは? と考える人が多くなったように感じる。
確かに、過去にはイカサマに走って営業停止になった後、頃合いを見計らって名前を変えた上で営業再開するグループも存在していた。店長がサクラを紛れ込ませて、本社に内緒で設定変更し、小遣い稼ぎに走ったホールもあるにはあった。
だけども、大多数のパチンコホールはそんなことはしない。裏モノを置いたり、お店側で不当に出玉を操作したりするような時代ではないのだ。それでなくても、現行スペックの機種は、何もしなくてもお客さんからブッコ抜く仕様のものが多い(特にパチスロ)。
現代において、イカサマはほとんど意識せずに遊んでいいと、個人的には考えている。でも、パチンコの仕様をよく知らない人にとっては、まるで魔法のように出玉が操作されていると感じることも多いのは分からなくもない。(文:松本ミゾレ)
「あのときの快感を覚えて、こっそり通うようになってしまいました」
ガールズちゃんねるで先日、「【切実】パチンコってイカサマですか?」というトピックを見つけた。投稿者の女性は、夫と以前1円パチンコ(レートが通常のパチンコの4分の1)に興じたという。その際に大当たりを射止め、恐らく連チャンもしたんだろう。数千円の勝利を手にした。典型的なビギナーズラックってやつだ。
そして女性は「あのときの快感を覚えて、こっそり通うようになってしまいました」という。
だが、それから一人で遊んでいても、まったく当たらないという。大当たりの確率がどれぐらいの台を打っているのかは記述がないので不明だが、とにかく当たっていないと主張しているのだ。
さらには「周りはサクラなのでは?と思うくらい当たってても、私は一切当たりません」と“パチンコホール”から書き込んでいる。その上で「パチンコって本当に確率ですか?それともイカサマですか? 私以外みんな当たってるんです!」と苦悩もしている有様だ。
僕としては「そんなに当たらないんなら、もうお帰りよ」って思っちゃうし、そもそもどんな釘の台を打ってるのかも分からないし、当たってる他人だって山ほど投資してる可能性もある。だから疑心暗鬼でおかしくなるのは、ちょっと怖いなって思うところ。でも、実際問題、自分だけが出ていなかったら、確かに不安には感じるよね。
どんな遊びも、ルールを知らないと負けにも勝ちにも納得できない
トピックでは「なぜあんなにパチンコ屋が儲かっているのか考えてみるといい」「早よ家帰れ」などの書き込みが目立つ。遊びは、所詮遊び。しかもパチンコの場合は、お金がかかってしまう遊びだ。
遊ぶならば、それなりにルールを把握することは大事。その前提知識がないままに出向いて、例え返り討ちにあったとしても理不尽に感じるのは当然だ。つまり、負けた理由が分からないから「イカサマだ!」と思っちゃうのだ。
理不尽に感じるのは、ルールが完璧に理解できていないから。魔法を使われたとか、遠隔をされた、って思ってしまう。
例えばUNOのルールを知らないまま、遊びに加わってもろくに楽しめないだろう。麻雀を知らなければ役も作れないので、いい牌が来てもチャンスを逃すのは言うまでもない。それと同じで、パチンコは大前提としてよく回るお店に出かけて、確率による抽選を納得した上で遊ぶことが大前提になる。
言い換えれば、大当たりの確率が300分の1の台があるなら、ヘソに釘が入るごとに299個のハズレと1個の当たりが入っている抽選箱から一回だけ引くことができる福引きをやっている、と考えなければいけない。
当然すぐに当たることもあれば、確率の2倍ハマり、3倍ハマりをしてしまうこともある。パチンコはいちいちイカサマなんかしなくたって、基本的にお客さんが負けるものなのだ。
これを覆すには、とにかくグルングルンの甘釘調整の台をひたすら粘ること。だけど、ここまでやることを主婦には推奨したくない、というのが本音。もう遊技でもなんでもない、持久戦になっちゃうので。そういうのはパチプロの領分だ。
やっぱりパチンコって、たとえば「今日は5000円!」とかある程度の投資上限を決めて遊ぶものだと思う。追いかけるとキリがないし。この女性が危惧するようなイカサマがどの程度のレベルを指すのかはあいまいだけど、一人の客を不当に負けさせるような操作をいちいちホール側もやったりしない。
基本、9割のお客さんは勝ったり負けたりして、トータルではマイナスになるのがパチンコだ。きっと今回の女性が初めて大当たりした時には、周りに一切当たらないまま延々と投資を続けていたお客さんもいたはず。それが見えていなかっただけなのだ。
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