低温、硬いタイヤ、全面再舗装の路面。それらの条件が重なって、第14戦トルコGPの初日フリー走行は信じられないほどグリップの低いコンディションで行われた。それでもホンダ製パワーユニット(PU)を搭載する4台は、トップタイムのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を始め、上位7番手までに入る速さを披露。「成果のあるいい1日でした」と、田辺豊治テクニカルディレクターは初日を総括した。
2日目以降も難しい状況が続きそうだが、「チームと協力して、臨機応変にやっていく」と語る田辺テクニカルディレクターは、好結果への手応えを感じているようだった。
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──かなり難しいコンディションでの初日でした。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。路面が全面再舗装されて、実際に走り出すととんでもないグリップの無さでした。ドライバーからは、「氷の上を走ってるようだ」と。それから徐々に路面コンディションは改善していったのですが、まだ十分ではありません。
そんななかで4台はきっちり走れて、車体、パワーユニット(PU)ともにセットアップ作業を順調に進めることができました。ライバルたちが何をしていたか、明日に向けて何をしてくるか、わからない部分も多いですが、2チーム4台にとっては成果のあるいい1日でした。
──2日目以降も、難しい状況は続きそうですか?
田辺TD:どれだけ路面が良くなっていくのか。その変化度合いを見ながら、FP3では予選、レースに向けての作業を進めていくつもりです。
──路面に関して、パワーユニット側はどういう難しさがあったのでしょう。FP1では、ほとんどまともなブレーキングもできないような状況でしたが。
田辺TD:(エネルギー回生の)出入りのバランスですね。どれだけ回収して、どれだけ出すか、それは通常とは違いましたが、基本的なことは全部やりました。
──有名なターン8など、事前シミュレーションではスロットル全開を想定していたと思います。それが実際には、途中でスロットルを何度も戻されていた。そのズレに関しても、2日目のフリー走行で調整していくということですか。
田辺TD:そうですね。路面コンディションが改善すれば、予選では全開で行けるかもしれない。ただ満タンのレースでは、元々フルスロットルは想定してません。それも含めて、準備しています。
他のコーナーも同様で、それらのいろいろな状況を見ながら、予選、レースに向けて最適化を進めていくということです。
──FP1が始まってしばらく、路面が濡れてました。雨が降っていたわけではないのですね。
田辺TD:再舗装した路面にオイルが浮いているだろうということで、水を流して洗ったようですね。
──ここまで滑りやすい路面は、最近ではないレベルだったのでは?
田辺TD:そう思います。ここがどういう設計をしたのかわからないですが、再舗装したからといって必ずしもグリップが落ちるとは限らないんですね。もちろん最初はオイルが浮いて滑りますが、たとえば敷き詰める砕石のサイズとか配合具合で、グリップは違ってきます。
──初日は多くのクルマが、連続周回でタイヤを温めていました。デプロイをしない連続周回もあったようですが、2日目以降も状況は変わらないのでしょうか?
田辺TD:はい。ニュルブルグリンクでもそうでしたが、ここも長く走らないとタイヤが作動温度域に入ってくれそうにない。あくまでFP3での状況を見てですが、ロングラン的な予選にして最後にアタックする可能性もある。今からの話し合いで、そこは決めていきます。
ただそうなると、パワーユニット側の手筈は通常と変わってくる。チームと協力して、臨機応変にやっていきます。